小さいころに万歩計と育成ゲームが融合したような形の「あるくんです」 というゲームにはまっていた。 ドラクエのキャラクターであるスライムが、歩いた歩数によって色々と 進化をしていく、というものだった。 私は当然のように、来る日も手動でガシガシ振っていたけれど。 でも一度だけ、亡くなった祖母と一緒に早朝さんぽに出かけたとき、 腰につけて、自分の足で歩数を稼いだことがある。 ただ、外の空気や、祖母の話してくれる花や木や鳥の説明に心奪われていたから、 結局、さんぽの間ほとんどゲームのことなど忘れていたのだけれど。 祖母は、私と歩くことをすごく楽しく感じてくれている様子だった。 昨年の9月、その祖母は亡くなって、祖母が倒れた春から、庭も荒れ放題だ。 実家に帰ったら何とかしようと思うものの、 結局飛行機が怖かったり、面倒だったりで、なかなか帰っていない。 春のにおいをかぐと、ドラクエときくと、ふとそんな事を思い出します。