ドラゴン溺愛ファーム(MF) 主人:ドラゴンを育てるのが長年の夢だった。優秀なブリーダーだったので、資金は有り余っている。 ドラゴン:空竜(クードラ)。愛情一杯で育てられるドラゴン モンスターを個人で育成するのが当たり前の世界。 ある者は大会での勝利、栄光を求める道へ進み。 またある者は、パートナーを着飾り、美しさを際立たせようとした。 しかし、ただ単純にモンスターと一緒に過ごすだけで満足できる者もいる。 とあるファームが、まさに良い例であったーーーー。 ---ドラゴン0歳 体型 標準(痩せ気味)--- 主人「さぁ、今日からここがお前の住む場所だ!」 ご主人に連れられてやってきた所はどこまでも遠くを見渡せる広い草原。 ところどころ見える丘の上には、いろんな施設があり、かなり充実していた。 生まれたばかりでまだ何もわからないドラゴンは、見えるものすべてが珍しくて、世話しなくキョロキョロ首を動かした。 ドラ「ここで、暮らすんですね。」 主人「まずはここの環境に慣れて貰わないとな。町からここまでの移動でずいぶん疲れただろう? ファームにいってゆっくり休んでくれ。お茶とお菓子を用意するから。」 ドラ「(・・・優しいご主人みたいで、良かった。)」 暫く休んでいるドラゴンの元に、主人が大量のお菓子とミルクを持ってやってきた。 不思議な形をした飴や、果物の形をしたケーキなど。 甘い香りが漂ってくると同時に、ドラゴンの胃袋が刺激され始め、少し涎が出てからぐぅとお腹も軽く鳴った。 主人「さ、好きなだけ食べてくれ。 お代わりもたっくさんあるから、遠慮しないでな。」 その言葉に甘え、ドラゴンはもくもくとお菓子を食べ始めた。ドラゴンらしい大口を開けて、ガブリ。 たった数分ですべてを食べ終えると、貰った大きな哺乳瓶に入ったミルクをちょびちょびと飲んだ。 ドラ「グルルル・・・(美味しい。)」 甘えた気分になり、ゴロゴロと喉を鳴らすドラゴン。 笑顔になったドラゴンを見て、主人は満足気に頷いた。 主人「よしよし、おいしかったみたいだな。それじゃ、夕食のご飯も用意しておくから、 追加のお菓子も置いておくから好きに食べといてくれ。」 そういって出した大きな箱には、ギッシリとお菓子のセットが詰められていた。 まだまだお腹一杯になっていないドラゴンは喜んでそれも平らげてしまうのだが、その後の晩御飯にテンコ盛りの骨付き肉が 待っているとは思ってもいなかった。 ---ドラゴン0歳 1ヶ月 体型 標準(平均+)--- ドラゴンがファームに着てから1ヶ月。 本来なら、今頃はトレーニングに明け暮れる日々なのだろうが、ドラゴンはその日もまた休養日であった。 ドラ「あのぅ、ご主人・・・訓練とか、しなくていいんでしょうか?」 生活サイクルに慣れ始めたから、そろそろ本腰で厳しい大会のためのトレーニングが始まる頃だと思っていた。 けど、主人は「いいのいいの。」と、おやつをいつもどおり準備してはいろんな話を聞かせてくれ、互いに談笑した。 「(んーーーーいいのかな?汗)」 しかし大好物のアメをバリバリ音を立てながら食べてると (本来は長時間舐めるのだが、ドラゴンは知らずにガリガリと普通の食べ物と同じ感覚で何個も食べてしまっていた)、 その疑問は頭の隅っこに追いやられてそのまま消えてしまう。 運動はするのだが、ご主人と一緒に泥合戦する時やジャンケンバトルをする時ぐらい。 激しく疲れるぐらいのトレーニングはサッパリ・・・というか一度もしていない。 徐々にドラゴンのお腹には余分な物がつき始め、ぽっこりと出てきていた。 ---ドラゴン0歳 2ヶ月 体型 ぽっちゃり(平均++++)--- それからも主人は甘やかすばかりで、 ドラゴンは一向にストレスも疲労も溜まらない日々が続き、健康以上の生活リズムを繰り返す ---ドラゴン0歳 4ヶ月 体型 デブ(メタボ+)--- そして半年も経たぬうちに、世間一般に「ぽっちゃり」で通用しないレベルの体型に到達してしまった。 「ご主人ー、どこですか〜」 ドラゴンが歩くたびにドスンドスン、と胸に響くような重低音が辺りに伝わる。 元から太い胴体が、ビア樽のように膨れて、丸々としたお腹は動くたびに僅かに動いていた。 大好きな主人を見つけると、安心しきった表情で体を曲げて首を近づけて、顔を摺り寄せてくる。 体は大きいがまだまだ幼いのだ。 「ああ、ごめんごめん。ちょっと探し物をしててさ」 ドラゴンの喉元を撫でてやると、嬉しそうにグルグルと鳴いた。 「しかし、随分と成長したねー。 元気に育ってくれて何よりだよ。いや〜ドラゴンはずーっと育てたかったんだよなぁ。」 膨れた丸いお腹をポンポンとたたいてみる主人。背が伸びて縦にも確かに大きくなったが、明らかに一番成長しているのは 腹回りであった。 しかし、毎日一緒に生活しているせいで主人はその変化は特に気にしていない、と言うか気づけていなかった。 それからも、主人は目に入れても痛くないほどに溺愛し、ドラゴンに愛情を注いだ。 少々、注ぎすぎてドラゴンの体は膨らんでしまったが。 ---ドラゴン0歳 6ヶ月 体型 激デブ(肥満)--- 本来、パートナーモンスターはご飯やおやつ、愛情を受けた見返りとして大会で賞金を稼ぐ・・・ のだが、このドラゴン(クードラ)は一度たりとも体を鍛えずかなりの運動不足であった。 わずか半年で、ドラゴンは協会が規定する「激太り」の体型へとなっていた。 ボリュームのある胴体には、非常に大きなお腹が突き出しており、顔も少しだけふっくら気味。 手足も若干太く、一見逞しく見える。 主人のほうも、日に日にドラゴンへの愛着が強まっていき、初期よりも必要以上に可愛がる超溺愛っぷりを披露していた。 「さ、クードラ。おやつのお代わりだよ〜〜(はぁと)」 「うっぷ、い、頂きます。」 どんどん追加を持ってくる主人、それを全部食べてしまうドラゴン。 最近はけっこー食べる量が増え過ぎで苦しくなってきたのだが、 ドラ「(せっかくご主人が用意したものを残すのもなんだか・・・)」 という変な気遣いのせいで、余分に食べ過ぎていた。 主人も主人で、体の大きくなるドラゴンと、全く残さない食べっぷりから少しづつ追加していた。 主人「(きっと多すぎれば、残すだろう。)」 この考えが仇となり、クードラ君のメタボの度合いは進行し続けた。 ---ドラゴン0歳 9ヶ月 体型 激デブ(肥満+++)--- 「がつがつ・・・ゴクン。 んー♪今日のもおいしかったです、ご主人。」 今日も山盛りの肉てんこ盛り。デザートとしてドラゴン専用の巨大棒アイスも5,6本食べ終える。 胃袋がかなり膨れるほど食べたドラゴンは、大きく息を吐き、満足気に膨れたお腹をさすった。 その姿は、ドラゴンと言うより太った熊の縫いぐるみだ。 四肢は太った胴体により、少しがに股のように開いている。 歩く時の重量感は、そんじょそこらのドラゴンとは比較にならないだろう。 ぶくぶくに太ったドラゴンは、まさに風船デブといった感じで、あちこちが綺麗な曲線を描いていた。 重い体を支える足はなかなか立派だが、太いせいか平均より短足に見えてしまうのが残念である。 先月、クードラがどうしても気になる、という事で 初めて初心者クラスの大会に出場したのだが、まともなバトルにならなかった。 相手も幼いモンスターなのだが、まず圧倒的なサイズ差に戦意が喪失し逃げ出していたし 勇敢なモンスターの力強いパンチもパンパンに膨れたお腹になんのダメージも通せなかった。 ドラゴンもドラゴンで、まともに移動できずに苦労したのだが、体重を相手に預けるだけでも大ダメージになり、結局は優勝し ていた。 「「超巨大ドラゴンが会場を震撼させた。(注目度と地響き2重の意味で)」」 というタイトルで新聞が出るほどであった。 ドラゴンでありながら愛らしい見た目と、優勝時の主人との仲の良さっぷりにファンもつき、 最近では差し入れとして大量のおやつが送られるようになっていた。 それらも、生活サイクルに混ざってきたドラゴンが更に太ったのも無理はない。 ---ドラゴン1歳 0ヶ月 体型 超激デブ(超肥満)--- そして、ドラゴンがファームへやって来て1年が経ちました。 「はっぴばーすで〜、でぃあ、くーどら〜!」 嬉しそうに歌う主人。 同じようにドラゴンも初めての誕生日にワクワクして、 嬉しそうにギャオーとかガオーとあいづちをうつように鳴いてました。 「さて、それじゃ待ち遠しいだろうからさっそく誕生日ケーキ食べよっか!」 主人は自分用に買った、小さなごく一般的なサイズのものを用意。 それに対し、愛しのドラゴンへ用意したケーキは・・・ なんと、クードラと同じサイズ!! いくらスポンジ部分の密度が薄いと言っても、山ほどのクリームや果物・チョコ、さまざまなトッピングがされたケーキは その重量だけでもかなりのものでした。 更にいうと、今は誕生日会の「ディナーの後」なのです。 「(た、食べきれるかな・・・?) い、頂きます。」 ぷくぷくに太ったお腹に、更にケーキを詰め込んでいくクードラ。しかし、デザートは捌腹なのかすいすいと胃袋に収まってい きます。 1時間ほど食べ続けても、まだまだ半分以上あるケーキ。 さすがのクードラも苦しそうに息をふぅふぅと吐きながら呼吸を整えたり。 けど、特注品だけあって凄い美味しくて、結局クードラは食べきってしまいました。 「う、うぅ、ウップ! (ふーふー、お腹がパンパン・・・でも美味しかったなぁ〜)」 自分と同じぐらいあったサイズのケーキを食べ終えたドラゴンのお腹は、それはもう見事としか言いようがないぐらいにドドーン と膨らんでしまいました。 本当に丸々とした体で、今は座っているのか仰向けに寝ているのか判別が付きにくいぐらいです。 ---ドラゴン1歳 6ヶ月 体型 超激デブ(上限越えにより、基準なし)--- 「ふぅ、ふぅ、ご主人ーお代わりありますか?」 「ああ、ちょっと待っててくれ。よし、、っと。 ほらどんどん食べていいぞ〜」 ほとんど歩くのすら困難になったクードラに、主人がご飯を与えてやります。 だいぶ前からお腹が地面につくほど太っていましたが、今でも体は風船のように大きく丸く膨れています。 屈強なドラゴン族だったので、ぶよぶよに太るのではなく、今ではどちらかというと超風船デブといった感じでした。 パンパンに膨れ上がった胴体は、背中側もですが特にお腹側が立派で綺麗な円になっています。 手足は、巨大な体のせいか少し小さく見えますが、こちらも昔より太い状態。 一日2食や3食では全く足りず、その数倍は食べていますが、その1度の食事量も昔と比べると飛躍的に増加していました。 来月には、もしかしたらまた1段階太ってしまうかもしれません。 ですが、そんな彼らの元に来客が・・・ 「モンスター愛護協会の者ですが。カクカクシカジカで、あなたとそのドラゴンを隔離します。」 「へ?」 あまりに太らせすぎで、モンスター管理条約の健康という点で引っかかってしまったのです。 哀れドラゴンと主人は、別々の場所で生活する羽目に・・・ ーーーしかしーーー それから半年後。クードラ、2歳の誕生日。 「お帰りっ、会いたかったよクードラ!!」 「ご主人〜!><」 彼らは再会を果たしました。 というのも、最愛のご主人に会えない辛さから、クードラは非常に強いストレスが日々溜まり更に太ってしまったのです。 挙句の果てには暫く過食症にもなり、飛躍的に増体する結果となりました。 完全に球体に近くなった巨体で、お腹周りもとんでもない数値でした。 これではドラゴンに逆効果、という事で保護協会も彼らは一緒に居るべきと判断したのです。 全身全霊、力いっぱいにクードラのお腹に抱きつく主人。 抱きつくと言うよりは、巨大な風船に乗っかったぐらいサイズ差はありましたが。 その後主人はドラゴンの2歳の誕生日を祝い、今度は去年と比べればまだ普通な大きさのケーキをご馳走しました。 1年後、見事ダイエットに成功し、一般的な「激デブ体型」になったドラゴンは、 ダイエット時に鍛えた力で見事大会を制覇していき、 その後、歴代でもっとも太ったモンスターが、殿堂入りを果たし立派なお腹をしたドラゴンの銅像が立ちましたとさ。 〜おしまい〜