黒ヒョウ:クウ 白トラ:バク ===== ここはドーブツ王国のメッターボル地方。 そこでは、そこそこ太った黒いヒョウと、同じく肥満体な友達の白いトラが棲んでいました。 彼らは仲も良いのですが、お互いに「自分もぽちゃってるけど、相手の方が太っている」と思い込んでおりました。 ある日のこと、黒ヒョウは知り合いのライオンにこんな事を言われました。 「お前まーた最近太ってきたんじゃないか?」 「Σなっ。いや、元からぽっちゃりしてるから気のせいじゃねぇの? ま、まぁ仮に太ったとしてもバクの奴よりはマシだろ」 「いや、お前の方が明らかに太いな、、、凄いぞそのお腹?たぷんたぷんだぞおい。」 「お、俺の方が・・・?!」 黒ヒョウのクウはショックだった。太ってしまった事もだが、なにより 「(俺があのメタボトラより太いだって・・?!嘘だろぉおお!)」 バクより肥えてしまったことが残念らしい。 ならば、ダイエットして相手よりも痩せればいいはず。しかし彼の思考は別の方向へと向かっていた。 =翌日= 「おーい バクいるかー?」 クウはたっくさんの手土産を持ちながら白虎の家を訪れた。 すると寝起きでだるそーな、体もダラけた感じのバクが玄関にやってきた。 「ぁ?なんだクウかよ。おはよーさん。どうしたんだよ、ソレ」 良い匂いが漂ってくるクウの荷物に、バクは興味津々だった。 「や、お前にやろうと思って。実は今かなり食べ物余っててさぁ。 みんなに配ってる最中なわけよ。」 とは言うのはもちろん嘘。この配給はバクを太らせる為の罠である。 自分が痩せるより、相手を自分以上に太らせた方が早いし疲れない! というのがこのメタボヒョウの考えであった。だから痩せないし太り続けるのだ。 「おうサンキューありがたくいただくぜ。」 体のごつく、かなり腹の出た白虎のバクは、何も疑わず感謝しながら貰った土産をその日のうちに全部胃袋におさめるのだった。 それからもクウは、ほぼ毎日バクにカロリーの高いお菓子やら食料品を渡したり、料理を作ってプレゼントしたり、とにかく奉仕した。 彼の運動量もかなり減らすように働き、ジュースを取ってきてあげたり、新聞を持ってきたり、テレビのリモコンを・・・ry そんな毎日が1ヶ月ほど続いた、ある日のこと。 白虎のバクは知り合いのチーターにこんな事を言われた。 「アンタさぁ、この頃太りすぎじゃない?」 「ぐっ、別に太ってたってたいした問題じゃねーだろ。」 ちらっと自分の下半身を見る。お腹が凄く・・・大きいです。 「そりゃそーだけど。今じゃアンタ、あのクウより太ってるわよね。この辺じゃ一番じゃないかしら?」 今の彼は、メッターボル地方でもしも相撲競技が開催されたら、かなり上位に食い込むか優勝しそうな見た目になっていた。 「なん、だと。あのクウより…俺が?」 ショックだった。あんな超メタボで走ることすら難しそうなデブヒョウより、俺の方が太って見えるだなんて。 そしてバクはスーパーに行って食料やお菓子を大量に買いあさった。 もちろん、明日クウの家に突撃して彼にたらふく食わせる為だ。 こんなやり取りを、長いこと続けており、彼らはドンドン太っているのである。 数年前は2匹ともぽっちゃり程度だったのに、互いにダイエットせず相手を太らせて、こんな状態になってしまったのだ。 太くなりすぎた足はかなり短足に見えるし、顎や頬っぺただっ ぷんにょりしている。 背中にも肉がついており、丸みを帯びているし、言わずもがなお腹は食べ過ぎた後みたいなパツパツなボール腹がデフォルトになっていた。 「「もっとあいつを肥えさせないとっ」」 そして1年が過ぎて--- 「(むしゃむしゃ)はぁー、はぁー、それにしてもこの頃は疲れやすい。げっぷぅ。 そういえばバクお前この頃また太ったんじゃねーのか?」 丸々とした球体に近い超肥満黒ヒョウが言う。 並のメタボを肥えた超メタボ体型・・・をさらに肥えた超メタボ虎3と化したバクはもしゃもしゃと肉の塊を食べながら返事した。 「ぐふぅ、ふぅ、(がぶぅ、むしゃもぐ。ガツガツ!)ううぅーーーっぷ! 何言ってんだよ、お前の方が腹回り太いじゃねーかっ。 俺はまだでっぷり体型だけど、お前はもうどっぷりボディだぜ?」 50歩100歩のしょーもない会話。 彼らがますます肥えていくのは避けられない運命なのかもしれない。 ここはドーブツ王国のメッターボル地方。今日も平和なようです。 †End†