寄生生命体・アインG 〜ダイジェストのみ〜 ケモノ歴290年。 空から大きな隕石が無人島へ降ってきた。 すぐさま学術調査チームが派遣されたが、彼らは帰ってこなかった。 特別部隊が結成され、島に向かうと−−− 「隊長、調査チームのメンバーがあそこに!」 「…どうしたんだ、あの姿は?」 そこには苦しそうに唸る調査チームの姿があった。 しかも、彼らの体は異常なまでに大きく膨れ上がっていた。 「うぅ、んん〜; 腹が…苦しいぃ・・・」 「いったい何があったんだ。」 「!? 隊長、茂みの方に何かがいます!」 部隊の前に現れたのは、複数の未確認スライム。しかし非常に弱っている。 様子を見ようと近づくと、突然スライムは部隊のメンバーの口から次々と体へ進入、膨張させた。 そのスライムは、いかなる手段をもってしても殺せず、体外へ排除することは叶わなかった。 3ヵ月後、寄生生命体・アインGと名づけられた宇宙からの来訪者は次々と世界各地へ散らばっていた。 寄生される人々。 そして埋め尽くされる病院のベッド。数倍に膨れ上がったケモノ達は、食欲も数倍になる。 アインGが体内の栄養を吸収するせいで、エネルギーが大量に必要になっていたのだ。 世界の半分のケモノは、次第に肥え太り、彼らの平均体重はわずか1年の間に3倍にもなってしまった。 迷惑極まりない危険な寄生生物…。しかし、研究が進んでいくうちに、彼らが非常にケモノ達にとって利点ある寄生種であると判明した。 怪我をした者は10数倍の自然治癒力を有するようになり、また病原菌やウィルスに異常なまでに強い耐性を手に入れたのだ。 心肺機能も上昇し、3倍を超える体重となったケモノも寄生前以上の活動や行動が可能になったのだ。 アインGは長時間この星では生命活動の維持ができないようだ。その為、他の生物に寄生する形で守ってもらい、その代わり宿主を最大限の能力で守るようだ。 20年後。アインGには一定以上の知能があると判明。 また寄生生物という名は改められ、共生する存在として認められるようになる。 === 〜スライム交流〜 とある事件に巻き込まれ、異世界に来てしまった赤いドラゴン。 全身はふわふわとした毛並みで温かそうだ。 目つきはちょっとだけ鋭く、傷も入っており怖い顔。なのだが、愛嬌のある体のせいか逆に滑稽というか、とても愛らしかった。 用はお腹が出ているドラゴンだった。かなりお腹が出ている。 大事な部分なので2度描写しました。 「いててて、ったく何処だよここは。」 ロクスと言う名前のドラゴンは落下時にぶつけた頭をさすりながらキョロキョロ周囲を見渡した。 本当は、一番重いお腹が真下になって落ちたのだが、ぼっよぉ〜んと見事にバウンドして、そのせいで岩に頭をぶつけてしまった・・・んだが、その納得できない出来事は彼の記憶から抹消された。 見慣れない風景。それどころか、空気の肌触りすら違う。外国に来た、という以上の違和感が全身に警告を送る。 ガサリ。 ふと後方で草むらが動いた。すばやく反応するロクス。 「誰だ?!」 だが視界には誰もいない。気のせいか・・・? しかし気配はある。するとモコモコとお腹が動いた。彼の中には生きたスライムが棲んでいるのである。 そのせいでお腹が平均個体より大きいのだ。診断の結果が凄いメタボなのは仕方ない。 もっとも、スライムが中に棲む前から、彼は、彼のお腹は、、、おっとこれ以上はパスワードが必要です。 「ん、どうしたんだ。下を見ろって?」 “にゅ、うにゅぅ。" 足元を見ると、弱弱しく鳴くスライムの姿があった。後(のち)に、この世界でアインG(ジェル)と呼ばれる、外宇宙から来た共生型生命体である。 星の環境に慣れないせいで、今にも消えてしまいそうなぐらい元気が無い。 モコモコ… 「顔も下げろって?ったく、俺は別にお前らスライムの召使いじゃねーっつーのに」 ぶつくさと文句を言いつつも体を折り曲げて(突き出たお腹がちょっと邪魔をする)、目の前のスライムに顔を近づけた。 「にゅぅ、うにゅにょ。」 ペコリ、と向こうが挨拶をした気がする。 「いや、さすがにスライム語はわかんねーよ。(中の)こいつとは多少意思疎通してる、がっ?!」 ”してるが”、といい終わる前に目の前の半透明なスライムが勢い良く彼の口めがけて、というか口内に入り込んできた。 「んぐぅ、むぅ!?」 口を閉じることも出来ない。ロクスはなんとなくデジャヴュを覚えつつも、そのスライムのなすがままになり、どんどん体内へ入られていった。 「げぷぅーーーっ!はぁはぁっ、なんなんだよおい!?」 わずかに膨張した自分のお腹を見て、ちょっと嫌な気分になった。将来、これぐらい太ったら嫌だなぁ。 モコモコ… 「うにゅ、にゅん♪」 さっきより、新参のスライムは元気そうだ。 「だから、何言ってるかわかんねーっつの・・・。」 モコモコ、と相棒(?)のスライムが説明する。 「…なるほど、一時的な避難場所に俺の腹の中が選ばれたってわけか。 はぁ、広くて居心地良さそうだったって?!」 なおさらショックである。そ、そんなに俺のウエストって太く見えるか?(※見えます) 「にゅ〜」 ハッとしてロクスは再び視界を戻す。 みると、例のスライムが次から次へとこちらに向かってくるではないか。 「待て、やめろっ!もう2匹で限界だっつのっ」 まだ大丈夫だよ、という意味合いの鳴き声がどこからか聞こえた。 それが目の前の連中か、古参のスライムの声かはわからないが、 とにかく・・・ロクスにとっては辛いスーパー拷問膨張タイムが始まった。 「んがぁ、あっ、ぶっ!?」 ごぶっ、ゴブンと容赦なく次から次へとスライムが“避難"の為に腹の中に溜まっていく。 ぷっくぅ〜〜とみるみる大きくなるロクスのメタボ腹。もうまん丸な満月に栄養を注いで更に太らせた感じのお腹に進化してしまった。 「やめ、ちと(ごぷっ)げっぷぅ、だから、もう限界だってのに!」 強気な口調だが、ロクスの目にはちょっぴりと涙がにじんでいる。そりゃあこんなにお腹が膨れるだけスライムを飲み込んでは、さすがのドラゴンでもきつい。 にも関わらず、要救助スライムは後から後からロクスのお腹に避難してくる。 「んぐぶっ、ぐぶっ!」 冗談抜きで限界だった。ここまで自分の腹が、というか体が膨れたことはかつてないかもしれない。 涙でにじむ視界で自分のお腹を見たが、もうメタボなんてレベルではない。 ウルトラスーパーデラックスメタボ腹EX・・と意味不明だが、レベルにするとそれぐらいのパンパンだけどモフモフなお腹になってた。 「が・・・・!?(やべ、もう、限界・・・だ。)」 バタンキューと目を回してロクスは気絶した。 「うにゅ?」 モコモコ・・・。 流石にもう無理かも。という相棒のストップにより、スライムの×大行進(○大侵入)は終了した。 翌日 「うー畜生、昨日は大変な目に合ったぜ。」 時間をかけて、安全な場所?までスライム達を運び終えたロクス。現地の保護施設所?らしき場所に連れて行ってあげた。正直、あれだけのスライムを体内に入れてたらろくに飛行すら出来やしないで、非常に苦労した。 それが役目だったのか、気がつけば元の世界に戻っていた。 お腹は相棒スライムだけとなってスッキリと元のサイズに戻り、“普通のメタボ”である。とはいえメタボ以下にはならないようだ。 「改めて思ったけど、さすがにダイエットしないとマズイよなぁ。」 今後も似たことがあって、スライム達が避難場所に適した場所=広くて快適な空間。なんて思われたらたまったもんじゃない。 「決めたぜ、いい加減ダイエットする。」 モコモコ…。 「狭くなるからそのままでいいか、むしろ太れって?うっさい!やるったらやる・・・!」 決意の発言の5秒後、ぐぅう〜と鳴いた自分のお腹の意思を聞いて、ロクスは顔全体が真っ赤になったのは言うまでも無い。 おしまい