罪を犯してはならないギルイット国。 太っちょ熊な王様のせいで、ここの国民の罪人は、非常にメタボである。 今日もまた、王に裁かれる者が連れて来られた。 「貴様が、弱者を虐げていたベヒーモスか。」 猛牛のような鋭い角を持った、大柄で太った巨大な獣はあわてて答えた。 「いえ、そんなっ!ちょっと苛めたというか、からかったというか・・・!」 「特に貴様は森でスライム達に酷い事をしていたそうだな? 彼らには、貴様に復讐する権利がある。」 「許してくだせぇっ、悪気があったわけじゃないんですっ!」 だが、刑罰の準備は着々と進められた。動きを封じられ、重い鉄球のついた鎖で足を封じられる。 まるで、ろ過する為の“ろ紙”みたいな形状の肥育専用7道具の一つを、口に装着させる。(口の広さ以上の物を大量に注ぐのによく使う。) 小さくて弱いからといって、ベヒーモスに苛められた大勢のスライムがやって来る。 そして、スライム達はベヒーモスの中へと大量に入り込んでいった。 「むがぁ!?ごぶぅっ!ぶぐぅっ・・・・ふむぅうう?!!」 どっぷんどっぷんと、ゼリー状の物体が次から次へと腹に溜まっていく。たぷんたぷんにお腹が膨らんで息、あっという間に床に到達するまで膨らむ。 それでもスライムたちの進行は止まらない。ベヒーモスはパンクしそうになるお腹を必死に力んで押さえ、そして床に力強く押し付けて耐え続けた。 「うう、ぅううぐぐぐ!!!!(ゴブゴブゥッ)」 1匹は小さいが、大量のスライムがみんな入っていくせいで彼の腹部膨張は止まらない。 涙をポロポロと流し、気絶しそうなほどの苦しみを味わって、ようやくすべてのスライムを取り込んだ。 「反省したか。二度と、同じ過ちを繰り返さないようにな。」 スライム全員に出てくるよう指示を出し、ベヒーモスを開放した。 その後、膨れたが空っぽになった胃袋へいつものように大量の食べ物をプレゼントし、このベヒーモス元の倍以上に太ってしまった。 数日後、熊王は目を覚まし、いつものように着替えした。 すると・・・ 「む。」 ベルトが締まらない。一番長いサイズだというのに。 「昨日食べ過ぎてしまったか。」 現在の王様の体重は推定950kg。でかでかと膨らんだまん丸お腹。これを、そのベルトでおさえつけるのは不可能に近かった。 新しい衣装を召使に頼み、王様はそれでも朝食を“いつもどーり”大量に食べた。 また太ったとしても問題ない。次に来た罪を犯した者を、今まで以上に肥え太らせるだけ。 次に呼ばれる者は、不幸である。 その国で、決して罪を犯してはならない。 犯した罪がどれだけ軽くても、何倍もの量でお返しされるからだ。 ついでに、自分の体重も数倍になってしまう。 ギルイット国・・・恐ろしい国だ。 おわり