1章 ダグラス(父)680kg→800kg手前 2章 ワグナス=アバロン(体育教師)2000kg→ コープ(息子) 920kg→ フラー(同居)2200kg→ 推定、1割?増しに。 3章 ダグラス →900kgオーバー、4桁目前に。 コープ、フラー共に200kg以上の体重増加。 4章 ダンターグ4.5t→5t超え→5800kg。 ワグナス→2500kg→2700kg。 5章 コープ 920kg →1700kg フラー 2200kg →2600kg ダグラス 680kg →1400kg 6章 アバロン夫妻→? マージ家→? 少なくとも、確実に増加。  6[chubby day's] 未だにバター・チーズともにかなりの量が残っているが、それでも短期間では考えられない量を消費していた。 消費した乳製品は・・・脂肪となり、体に蓄えられてしまったが。 毎日腹がはち切れそうになるほど食べ続けた結果、彼らは目に見えて太ってしまった。食欲もかなり増えた。 だが、まだ普通の生活リズムに戻ればゆっくりとだが痩せて元の体型に戻る事が出来たはずだった。 しかし、運が悪かった、としか言いようが無い。 ベクタ出身であるハリアが、たまたま“chubby”の店長と知り合いで。たまたま、無料招待券を複数枚貰ってしまった。 そして休日になり、マージ家とフラーはベクタ料理専門店へと足を運ぶ。 正直、外食は暫くぶりで、コープは元より家族全員が楽しみにしていた。 ワシもどんなメニューがあるか想像しながら、心なしか早足のつもりで店へと向かう。 ”chubby”と描かれた看板が見えてくると同時に、空腹を刺激するような魅力的な香りが漂ってくる。 一歩近づくごとにその匂いは強まり、たまらず誰かのお腹の虫がぐぅ〜と鳴いた。 店の前に来ると、様々な香辛料や、焼いた料理の香ばしい匂いがふわりと鼻につく。 思わず唾をゴクリと飲んでしまう。まだ、料理を見てもいない段階だが、ここはかなり“当たり”の部類に入る店であろう事は検討がついた。 ダグラス達、マージご一行は気づかないうちに鳴っていた腹をおさえると、店へと入っていった。 扉を開けると、中は想像以上ににぎわっていた・・・というよりも、混んでいるというべきか。 客の入りは良いみたいだ。しかも、客の大半はふくよかな、というかストレートに言うとデブい竜ばかりで余計にスペースを取ってしまう。 果たして座れる席はあるのだろうか。見えている範囲に、空いているテーブルは一つも無い。 「いらっしゃいませ、4名さまですか?。」 やたら恰幅の良い、お腹の突き出た竜がドスンドスンと少しばかり床が軋みそうな雰囲気で出迎えてくれた。 「あのぅ、招待券を貰って来たのですが。」 ハリアは無料招待券を取り出すと、店員に見せた。 「ああ、マージ家の皆様ですね!店長からお話は伺っております、、、ですが、えーと。」 店員は困ったような表情で、胸の前でぎりぎり届く程度に腕を組んだ。 「都合が悪いのでしたら、日を改めますが?」 「いえいえ、ただ今日はちょっとしたサービスデーで客も多くなっておりまして。 1時間以上待っていただくか、相席という形になってしまいまして。」 「なんだ、そんな事でしたか。ワシ達は相席でも一向にかまいませんぞ。」 無料招待券を貰って来たのだし、それぐらいなら気にしない。 それ以上に、ダグラスは早くこの匂いの元となっている料理たちを食べたい、という気持ちの方が強くなっていたのだ。 もっとも当の本人はその事に気づいていなかったが。 「うん、僕もうお腹ペコペコだし、こんな美味しそうな匂いがしてるんだもん。我慢出来ないや。」 「はは、コープ君は相変わらずだな。(とはいえ、私も気持ちは全く同じなわけだが。)」 そんなマージ家ご一行の、誰からかわからないが腹の虫がググゥーと鳴ったのが聞こえた。 「ありがとうございます。4名さまでしたら、あちらの右奥の席になるでしょうか。確認を取ってきますので、少々お待ちをーーー。」 「あれ、あそこの席にいるのってもしかしてーーー?」 [†] そんなこんなで、偶然ながらもアバロン夫妻とマージ家は同じ席に着くのだった。 しかも、快く相席してくれた御礼に、とアバロン夫妻にも後からやって来た店長が半額サービス券を手渡すのだった。 これで倍以上食べれるわね♪なんて半分冗談、半分、、、いやかなり本気の台詞で喜ぶダンターグにツッコミを入れるワグナス。 とはいえ、ワグナスも心の中では当初の予定以上に食べよう。せっかく半額になるのだから。なんて甘い考えになっていた。 「しかし、たまたま来た日の相席する相手が、うちの子の学校の先生方だとは。」 注文した料理を待つ間、出された水をグビグビと飲みながらダグラス。 「いやはや、世間は広いようで狭いものですね。」 すでに、何度目かのお代わりをするワグナスもちょっと笑いながら受け答えをする。 コープは、先生たちと思わぬ所で出会ったのでちょっとだけ緊張しているようだ。 だが、自分の頼んだ料理がテーブルに運ばれると、そんな気持ちはどこへやら。 「お待たせいたしました、海鮮料理のバターソテー目玉焼き添えです。」 ドンっ、と置かれた皿は相変わらず大きく、軽く前菜代わりに頼んだのだが、これだけでかなりのカロリーがあると見える。 バターはじゅうじゅうと美味しそうな音と香りを出し、目玉焼きは厚焼きで4枚ほど。 メインの海鮮類は何種類あるのか、海鮮丼数杯を作れそうな程である。 「わー、おいしそう!いっただきま〜す。」 コープは、まず一口。そして笑顔に。 そしてもう一口、先ほどよりも多く。そして再び笑顔に。そして3口目を食べて、とびっきりの笑顔を見せた。 「お。それも美味しそうだな?」 「うん、とっても!」 「ワシも注文に追加しておこう。」 「あ、それでは私も・・・!」 美味しそうに食べるコープを見て、軽い気持ちで注文するダグラスやフラー。 だが、後で彼らは後悔する。誰が頼んだどの料理も、一度食べておきたいほど美味しそうなのだ。 ワグナスとダンターグがいるおかげで、コープの学校での話も弾んだりして、談笑しながら食事も進む。 気がつけば入店から2時間近くたっても、料理の追加注文は止まらなかった。 先に店に来ていたワグナスやダンターグは、普段以上に食べているのだが、ペースを自然に相手に合わせてこれでもかというぐらいにバカスカと食べまくる。 「ーーーハハ、そうですな・・(モグモグ)・・ぅ、んぐ。」 「? お父さん、どうかしたの。なんだか具合が悪そうだけど。」 「あら、大丈夫ですか?」 メンバーの中で一番食べまくっていたダンターグも、からめとったパスタから一旦フォークを置いて心配そうに声をかけた。 「少し席をはずしますが、失礼ーーー。」 ダグラス・マージは席を立つとよたよたとした足取りで、休憩室に向かった。 「ふぅー、ふぅ、−−−ウッ、っぷ!!」 胃に溜まっていた余分な空気を吐き出し、ようやく少しスッキリする。 こんな感覚は久しぶりで、いつ以来だったか。 腹をさすると、余計な脂肪で膨れていた胴体が、更に丸みを増しているのが感じ取れる。 「いい加減にダイエットも、、、せんとなぁ。」 だが、今日はせっかくの家族そろっての外食。しかもいくら食べても無料なのだ。心行くまで食べたところでバチは当たらないはずだ。 それに、本心ではまだまだ食べていたい。正直、chubbyの料理は文句無しに旨かった。 ボリュームがあるのに、質が全く落ちていない。むしろ、普通の店の料理よりも美味しい気がする。 さすがベクタ大陸で鍛えたコック達や食材だ。 こんなにコストパフォーマンスも良くては、常連客が増えるのも仕方ないのだろうな。 ダグラスは、自身もまた家族で出かける事が無くても、外食の機会があればここで食べたいと思うほどになっていた。 暫く休憩して、席に戻ると全員新たな料理に手をつけているようだった。しかも、もちろん大盛りや特盛り。 ハリアもニコニコしながら会話しているが、特に食事のペースは落としていないのだから末恐ろしい。 それほど太っていない彼女も(いかんいかん、ワシも含め全員肥満しているというのに)、やはり彼女もベクタの竜なのだろう。 さて、休んで胃も少し落ち着いた。そろそろ新しい料理を注文するとしよう。 「このガーリックライスの炒飯はなかなか美味しそうだ、、、よし。」 パタン、とメニューを閉じると彼は店員を呼んだ。 「ガーリックペーストの炒飯、大盛りで頼む。それと、海老シュウマイと春巻きのセットを3つ。いや、5つ。」 自分でも驚くほど食欲がある、、、が悪い気はしない。家族や、その知り合いと会話しながら美味しい料理を食べ続ける幸せな時間。 まだまだ彼らの食事は終わらない。 [†] メニューの増量チケットの効果、そして半額、片方に至っては無料ーーーそして超絶美味な料理の数々。 アバロン夫妻とマージ家(フラー先生を含む)が昼食を食べ始めてから、どれぐらい時間が過ぎただろう。 さすがに、数時間ノンストップで食べ続けはしない、、、が休憩を含めるとなんだかんだで、数時間以上食べ続けているのだ。 「美味しいね〜♪ケプッ、けど結構お腹がきつくなってきたや。」 コープ達は見事にサイズアップしており、誰が見たって食べすぎであった。腹はきつい、しかし食べたいという欲求は全く衰えていなかった。 彼らの満腹感よ、仕事しろと言ってあげたい。 客の数も落ち着いてきたのか、料理が作られて運ばれるペースも上がってきた。 しかし、ワグナス達もさすがに長時間食べ続けたせいで、ペースが落ちてきた。 「ぅ、流石に少しばかり苦しくなってきましたね。うぷ。」 とはいえ大食い大会に参加しているわけでもないのに、この食べっぷり。 いかにこの店の、ベクタの料理が美味で病み付きになるかを証明している。 この段階で彼らは止めておけばよかったのだ。 しかし、ここ最近の「積み重ね」により彼らの肥えた体は食欲を抑える力は弱まっていたし、そもそも我慢しようとする気持ちがほとんど無くなっていた。 更に追い討ちをかけるように、店からのサービスで「アスターゼ草」が胃腸薬代わりに手渡される。 わかっている、、、これを食べてしまえば、自分達は更にこの後も追加で料理を注文し、食べ過ぎてしまうだろう。 その事をはっきりと痛感しているフラーや、体重をある意味誰よりも意識していたワグナスは少し躊躇った。 だが、結局は食欲に・・・chubbyの料理の旨さに負けてしまった。 「(今日だけ、、、今日は沢山食べて、今度から減らしていこう。うん、我慢するのは逆にストレスになってしまうからな。 たくさん食べて、気持ちよくなってからダイエット頑張ろう。)」 フラーは、心に刻む。だが、その決意がしっかりと守られるようなら今頃は昔のような体型に戻れているはずなのだ。 自分に厳しいワグナスも、ここ最近の食欲だけは、抑えきれなかった。 結局、両者ともアスターゼ草を貰って食(は)み、胃を落ち着かせるとデザートに手をつけた。 長い長い彼らの[昼食]はこうしてひと段落をつける。 そして、気がつけば[夕食]の時間になっていた。 「いやぁ、皆さん実に良い食べっぷりだ!!」 店員と比べても格段に太っているchubbyの店長が、巨大な腹部の腹肉を上下に揺らしながら再び挨拶にやって来た。 「招待したかいがあるってもんだ。厨房の連中も喜んでるよ。特に坊主の笑顔、俺達にとっては最高だよ。 そんで、これは全員にサービス。」 そしてアイスフロートのジュースを持ってきた。 アイス部分がかなり大きく、コップもLLサイズなのでかなり食べ応えと飲み応えのある代物だ。 「ありがとうございます。」 一同はお礼を言うと、一区切りの意味も含めてデザートを食べ始めた。 しかし特大のアイスフロートも彼らにとってはほんの少量で、すぐさま胃に流し込まれた。 ふっと、アイスを食べ終えたワグナスは我に返る。 ついつい美味しい料理に身を任せ、止まる事のない食欲を放置していたが今日はいくらなんでも食べすぎではなかろうか。 見れば、明らかに自分の胴体は一回り大きく膨れており、確かにたっぷり皮下脂肪と内臓脂肪も詰まったお腹だが、それだけではここまで大きくなるまい。 「ぐふっーーーうっぷ。」 空気を吐いて、意識を覚醒させると、かなり胃がきつい。なぜここまで食べるまで、気がつかなかったのだろう。 そろそろ終わって、退席するべきだろうか? しかし妻のダンターグはまだハリアさんと楽しそうに話を続けている。 奥さん同士、話が弾むのはどこでも一緒なようだ。 仕方ない、もう暫くここで料理を食べているとしよう。ワグナスは追加で料理を注文し、かるく周囲を見回した。 フラー先生は、山積みになった皿をウェイターに渡すのはすでに何回目だろう。 今席にいる竜の中では一番太っている妻のダンターグがやはりかなり食べているが、彼も同じぐらい食べているのではないだろうか。 コープも同様で、食べ過ぎて腹が大きくなったせいかテーブルの料理を取るのに悪戦苦闘している。 とはいえ、私も大差ない。体を前にかがめて取れていた料理が、今では腹でテーブルを押してしまうレベル。 その為、ウェイターに直接手渡されるか、隣の席の者に渡されないと取れないのが今の現状であった。 これほど料理が美味しい店なら、お代わりしようが食べすぎようが、バチはあたらないはずだ。 アスターゼ草を食べたのは失敗だったろうか。だが、胃が多少すっきりしているおかげでより料理を美味しく感じられる。 しかしそのせいで食事をする手が、口が、胃が、全く休む気を起こさない。 「すみませんが、このキャベツ丸ごとポトフのお代わりを頂けますかな?」 全メニューを制覇するのは、質量的に以ての外。もちろんどれだけの大食い竜だろうと不可能だ。 だが、色んなメニューを食べていきたい・・・しかし同じ料理でもまた何度でも食べたい。 ワグナスは食べれば食べるほど、食欲が沸く自分を感じつつ、だが不快には思わなかった。 このまま食べ続けて太ろうとは思わない。だが、ここの料理を食べるのを止める選択肢はもっとありえなかった。 食事ペースは全く衰えない。話に夢中になったハリアやダンターグは、少しペースがゆっくりになっていたが。 気づいていなかったが、ワグナスは大食らいであるはずの妻の食事量と並ぼうとしていた。 そして、ダグラスもまた以前では考えられないような食欲で次から次へと皿を空っぽにしていた。 研究熱心な彼は、このベクタ料理独特の味付けや野菜の使い方を、新作パンで使えないかと思案しながらもどんどん追加。 残さず食べては満足そうに手を上げてウェイターを呼ぶ。 店に来てから、何時間そうしていただろう。入店時とは、全員明らかにシルエットが変化するぐらい食べていた。 体重増加、肥満化はたった一日とはいえ避けられないだろう。 店内の時計は、休日の、いつもならトレーニングをしているはずの時間を指している。 「ふぅー・・・ん、もうこんな時間か。なぁ、私たちはそろそろ行かないか?」 「あら、もうこんな時間だったのね。でももう少ししたら夕食の時間なんだし、このままここで食べていかない?」 「いや、しかしだな・・・。」 その案に、もちろんワグナスは否定しようと思った。今日、一日だけでいったいどれだけのカロリーを摂取してしまったか想像もつかない。 移動に歩いた以外は、ろくな運動もしていない。 「ね、お願いあなた。」 妻のお願いだけではない、chubbyの料理までもが引きとめようと甘い誘惑・・・いや、悪魔のささやきとして、魔の手を伸ばしてくる。 美味しそうな香りが漂ってくる。 「じゃあ僕たちもそうしようよ!僕もーちょっと食べたいし。」 コープがまだまだ食べれるといった表情でペロリと頬の食べ滓を舐めとった。 昔は痩せていたフラー、そしてダグラスは少し躊躇した。だが、その意思を決壊させるにはchubbyの料理は十分な味を持っていた。 「今日は一緒の席に着いた珍しい日だし、いいかもしれないな。」 誰がぽつりと言ったか、その一言のせいで彼らは結局自分たちの胃袋を限界突破してしまいそうな勢いで料理を食べ、 最終的にはどうやって帰宅したのか記憶に残らないほどになっていた。 [‡] 「うーん、うぅ〜〜ん・・・・・・げふっ。」 はち切れんばかりに巨大になったお腹をさすりつつ、ワグナスは自室で横になった。 食べ過ぎて苦しい、なんて生易しいレベルじゃない。 おくびも何度吐き出したかわからない。 けど後悔はしていない。あの店で食べた料理の一品一品を思い返すと、また口の中が潤いそうだった。 店でお土産に渡されたアスターゼ草を食べていなければ、帰宅途中に倒れてしまったかもしれない。 妻のダンターグにいたっては、いつの間にやらケーキを買って来てそれを家で食べている。 恐ろしい事だが、デザートは別腹なのだろう。しかし、20個ものケーキは果たして別腹扱いでよいものだろうか? 結局、丸一日食べるだけ。トレーニングは一切なし。帰るなり、胃を落ち着かせながら寝るだけの休日。 ワグナスの体重は、とうとう3tの大台。更なる[肥満]への一歩を確実に進んでしまった。 7へ続く