テイルズオブ・リバースより。シャオルーン 【聖獣だって、寝込むんです】 ーーーうーん、なんだか体の調子がおかしいや。気のせいだろうけど・・・。 犬みたいな顔つきで、龍のような体格をした、蒼の聖獣であるシャオルーンはなんだか違う意味で顔を青くしていた。蒼白ともいえる。 その様子に真っ先に気づいたのは、医療の心得が多少あるアニーであった。 アニー「なんだか具合が悪そう・・・大丈夫、シャオルーン?」 シャオルーン《平気へいき〜。次の目的地まではもうすぐだしね。あと、少しで、、、着くと、思うから。》 だが、どんどん高度が降下していく。 ヴェイグ「!? どうしたんだ、シャオルーン!」 《あ。あれ、おかしいな、ちからが・・・出なくなって・・・・》 どんどん地面が近づいていく。 ズズーーンと音を立てて、地面をえぐりながらシャオルーンの巨体は不時着してしまった。 ・・・・ アニー「もうっ、やっぱり具合が悪かったんじゃない!」 シャオルーン《そうだったの?僕、今までこんな風になったこと無かったから。》 ユージーン「最近は長距離移動が連続だったし、途中で戦闘もあったからな・・・無理もない。」 そして診断の結果・・・ アニー「うーん、たまにセキやクシャミ、熱っぽい体温の上昇・・・この症状、風邪・・・じゃ、ありませんか・・・?」 《へぇー、この頭がグラグラして、全身だるくて、寒気がしたりするこの状態が“風邪”なんだね!》 ティトレイ「おいおい、なんだか嬉しそうだなぁ;」 《へへー。だって、今はみんなと一緒って気持ちになれるからね。》 ティトレイ「あー・・・一緒って何が?よくわかんねぇなぁ。」 マオ「一緒、、、か。そうだよね。」 ヴェイグ「とりあえず、俺達は暫くこの付近で情報収集しているよ。その間、アニーはシャオルーンの事診てやってくれ。」 アニー「わかりました。シャオルーン、今はゆっくり休んでください。」 シャオルーン《なんだかごめんね。みんな・・・・すぅzzz》 疲れていたのだろう、シャオルーンはスヤスヤと可愛らしい寝息を立てながら眠りについてしまった。 それから、暫くは看病生活が続いた。 みんなとても優しく接してくれるし、たくさんお土産も貰った。 《このシチューとってもおいしいよ! ホットミルクも体が温まるし、お土産のクッキーもとってもおいしいや!》 シャオルーンは笑顔で喜んだ。そして、思った。 具合が悪くなると、みんな更に優しくなるし美味しい思いもできる・・・と。ちょっとだけ苦しさはあるけど。 そして1週間後。みんなは気付かなかったが、いい感じにシャオルーンはぽってり太っていた。 つきっきりの看病やお土産、そして運動不足が見事に重なった結果である。 すっかり元気になったが、なんだか前より移動速度は遅くなっていた。 だが・・・話はそれだけでは終わらなかった。また看病されたいなぁと思ってしまったシャオルーンは、再び疲れるように無理をしてまた風邪を引いてしまった。 以前よりも熱が高かったせいか、前よりもみんな優しくしてくれ、ワガママと思えるような願いも全部聞いてくれた。 シャオルーンは苦しさと同時に味わうみんなの優しさや暖かさ、食べ物の美味しさに感動してしまい、すっかり似たことを繰り返すようになってしまった。 そして、そのたびにドンドンと太っていった。ぽてっ腹は次第に膨らんでいき、ツチノコみたいな胴体が更に大きくなっていき・・・ 1ヵ月後 ーーーーうぅ、ん・・・なんだか、体が重いや。具合はそんなに悪くないと、思うけど・・・ アニー「シャオルーン、疲れてるみたいだけど大丈夫・・・?」 《ふぅふぅ、へ、へーきだよ。でも、ちょっと、疲れた、かも・・・?》 へなへなと力が抜けていく。なんだか、以前の1/3も距離を飛んでいないのに凄い疲れてしまう。 それが太りすぎによる弊害という事に彼は気付けなかった。 次第に降下していく体。何故なら、彼の体重はあまりにも増えすぎていた。 ドズゥウン!!! と凄い音をして”腹から”落下したシャオルーンだが完全に無傷だった。お腹の柔らかさが全ての衝撃を吸収してしまうからである。 ヴェイグ「まだ完全に体力が回復しきってなかったようだな。 よし、今日はここらでキャンプをしよう。」 アニー「大丈夫、シャオルーン?無理はしなくてもいいんですから・・・。」 シャオルーン《う、うん。なんだかゴメン》 あれ、おかしいな・・・元気いっぱいで出発したのに。 その後、シャオルーンは益々丸まると越え太っていったんだとか・・・・。   END?