マンプクコロコロSOS 〜1〜 ヨノワール : シンドローム(敵)の役。誰かが「無駄遣い」した時に発生するエネルギーを蓄えていき、エゴカウンターが最大値になると、怪獣を生み出す。違いとしては部下にヤミラミ達がいる。 === 「新装開店、食べ放題・飲み放題!全て無料の回転料理!」 その魅力的なフレーズは、多くのポケモン達の心を鷲掴みにした。 ヤミラミ「皆様、是非ともお越しくださいませ〜。」 本当に無料だなんて、そんなうまい話があるわけない。 だが、、、 ヤミラミ「ここで出る料理は、全てコック見習いや料理修業する方々の作った作品です。 厨房が養成学校になっており、そちらで料金をすでに頂いております。 完成した作品は皆様ご自由にお食べ下さい。」 ざわ・・・ざわ・・・。とポケモンたちが相談し始める。 本当に無料なのか? 一度試しに入ってみようか。 カイリュー「それじゃ、まずは店に入るだけ・・・。」 ヤミラミ「一名さま、ご案内〜♪」 店内は想像以上の広さだった。外から見ても、公民館ぐらいありそうな大きさだったが、非常に広々としたスペースで、席も大型ポケモンに合わせた物がかなり多い。 天井も高くて、ゆったりとくつろげそうな空間が広がっていた。 カイリューは、想像以上にしっかりした店内でちょっと躊躇した。 こんなしっかりした場所で、無料で食べられるわけ無いや。 しかし、ふとレジに目をやると 腹を大にして膨らませたヨノワールがレジ係と話しているのが見えた。 「ぐふぅ〜、いやご馳走になった。では、また来るよ。」 「ありがとうございました。またお越しくださいませーっ」 しかも、様子を見るとお金を一切払っていない。 「あんなに食べてるみたいなのに、本当に無料・・・?」 カイリューは、不思議に思いつつ再び店員に尋ねてみた。 「ええ、勿論ですとも。お客様からお金を貰わずとも、十分に利益が出る仕組みとなっております。 では、こちらの席へどうぞ〜。」 「え、あのっ、いえ僕は…。」 促されるまま、席に座る。まるでソファーみたいな座り心地だ。背もたれもふかふかで、心地よい。 なんだか立ち上がれる雰囲気じゃない。 一皿だけ食べて、帰ろう。 回転寿司みたいなコンベア式で、皿の上に乗せられた料理が次々と目の前を通過していく。 どれも、軽く食べ終れるような代物ではなかった。 一品でも十分満腹になっちゃいそう。 しかし、そんな料理を見ているうちにドンドンお腹が空いてきた。 あ、あれ美味しそう。こっちのスープもなんだか魅力的だ。 さっぱりした物も食べたいし・・・ いざ、決意して食べようと思うと手が迷う。 「うーん、、、、」 カイリューは思い出した。昔、知り合いのダイエット仲間に言われた言葉を。 [いいかカイリュー。食べないで後悔するよりも、食べて後悔した方が何倍もマシだ!!] そんな台詞を言った彼は、今ではむくむくと激太りしているが。 カイリューはその言葉を信じて、自分を甘やかした。 いいや、食べたい分、全部食べちゃえっ!! そうして彼が店内を後にしたのは、2時間も後だったという。 「あ〜、おいしかったぁ!!!」 けぷぅっと可愛らしくゲップを出して、見事に突き出たお腹をなでなでする。 その様子を見て、店の前で悩んでいたポケモンたちが彼に話しかけた。 「ね、ねぇ本当に無料だったの?」 「え?うん。僕も半信半疑だったけど、本当にタダだったよ。しかも、とっっっっても美味しいんだ!!」 味を思い出したカイリューは、涎を垂らして満足そうな顔でいる。 「俺も行こうかな。」「私も、ちょっと興味あるかも。」 一度警戒心が解けてしまえば、後は雪崩れるだけである。 次から次へと客が店に入って行き、目の前を通過していく豪華絢爛な料理の山を手に取っては腹に収めていった。 クチコミで噂は瞬く間に全国に広がり、海を渡って向こう側のポケモン達もやってくるようになった。 どれだけ食べても“無料”の料理。むしろ料理を作る者たちの為に[試食している]という考えから、次第にタダで食べる事が当然のようになっていく。 その頃、店の地下では怪しく笑う影の姿が見えた。 ??? 「・・・。順調に進んでいるようだな。」 ヤミラミ「はい、ヨノワール様。連中、次第に食べる量と種類が増えてますよ。このペースだと、予定より早く準備が整いそうです。」 ヨノワール「こうも上手く行くとは思わなかったが、単純なやつらだ。 だがいずれ連中は後悔するだろう。自分達のしてきた事にな。ふふ、くくくく・・・!!」 数ヵ月後。 毎日、店はコンベアがフル稼働する満員の状態であった。 「好きなだけっ、モグモグ、食べれるっ、なんて (ムシャムシャ) 最高〜〜〜!」 カイリューは、喜んで大量の料理を食べ続けていた。 朝から数えると、10品は越えている。そして、彼の体自身もまた、とてつもなく肥えていた。 脂肪が詰まりすぎたお腹は膨らみすぎだったし、二の腕にもたぷんとした弛みが少し見られる。 足も丸太以上、大根足以上に太く短くみえる。 頬っぺたは非常にプクプクとしており、つまんでみたい衝動に駆られた者達によりいつもいじられたりしていた。 右隣に座っている客も、ずいぶん肥え太っていた。 高さよりも、横幅の方が大きく見えるリザードンだ。 腹太鼓を使えそうな程に立派な「太鼓腹」の持ち主であるが。腹が成長しすぎて、このままでは料理に手が届かなくなるのではないかと心配したくなる。 左隣に座る客のサンドパンも、言わずもがな超肥満状態だった。 体を丸めているわけじゃないのに、全身のシルエットは球体と化している。 ポケモン達はバクバクと糖類が使われすぎなデザートや脂っこい料理を狙っては、お代わりを繰り返し続けていた。 右奥にいるカビゴンなんかは、大型ポケモン用の席に座っているにもかかわらず、幅が足りずに臨時の椅子を取り付けてお尻をなんとかおさめている。 当然ながら太りきったカビゴンが400kgなんかの量では満足できるはずもなく、今朝から食べ続けた総量は1トンにもなろうとしていた。体は平均個体の倍以上に膨れ上がり、腹はパンパンに張っていながらボヨンと柔らかそうにゆれたりもしている。 しかし、そんな巨体は何も彼らだけの特権というわけではない。 店にいる、ほぼすべての客が同様か、それ以上の体格を持った「おデブ」と化していたのだ。 マンプクコロコロSOS 〜2〜 あらすじ 回転寿司さながらの、無銭飲食店が登場した。 ポケモン達は、“無料”の料理を食べ続け、数ヶ月もたつとぶくぶくに太っていき、食への考え方も変化し始めた−−− ルギアは、店内に入るべきか、迷っていた。 実は一時期彼は激太りしてしまい、折角ダイエットして痩せたのだが…店の常連になってしまった事ですっかりリバウンドしてしまったからだ。 自分の食欲と、体質を考えると更なる肥満化は予想の範囲内であり困っていた。 だが、「無料」の期間がいつまで続くかわからない。客が増えたことで急遽、有料の店に早変わりする可能性だって否定できない。 それに食べないで後悔するより、食べて後悔する方が、“美味しい物を食べた”記憶があるだけ圧倒的にお得だ。 気がつけばルギアは店に入り、バクバクと食べ続けるカビゴンの隣に座った。 目の前には次から次へと美味しそうな料理がコンベアによって流されていく。 そっと皿を掴み、目の前に置いてみた。相変わらずかなりのボリュームだ。 こんもりと山盛りになっており、これ一品食べるだけでも腹は十分に満たされるはずだ。 しかしここの料理の恐るべきところは、何品も食べようと思いたくなる美味しさにある。 つい必要以上に摂取してしまい、気が付けばお腹はパンパンになっている事が珍しくない。 昨日だってヨタヨタとした歩き方になるぐらい食べてしまい、体重計の数値が大幅に上昇していたからこそ今日悩んでいたのだから。とはいえ、もう止まらない。 ルギアは今日もまたその大きな腹にどんどん料理を蓄えていった。 隣のグループに目をやると、丸い赤と青の風船が視界に入る。 知り合いの、ラティアスとラティオスだ。 数ヶ月前に比べると格段に太っている。それでも、2匹合わせた体重よりも私は重いだろう。 身長差はもちろんだが、それ以上に私はその、、、(汗)かなりお腹がパンパンに膨らんでいるのだ。別に何もお腹に入れていなくても、そうなのだ。 詰まっているのは夢と希望だったらいいのに。皮下脂肪と内臓脂肪というやつなのだろうか。 正直なところ、自分でも太り過ぎたとは思っている。だが、周囲の客達もどっこいどっこいなのだ。 みんなで太れば怖くない。なんて思うつもりは無いが、実際のところ危機感はさっぱりなくなっている。 ちょっと動きが鈍くなるのさえ気にしなければ、このでっぷりしたお腹もそれほど気にならない。私よりも太っている者も沢山いるのだから-−− そしてルギアは新たな料理に手をつけ始める。 また別の席でも、ほとんど彼(ルギア)と大差ない葛藤が行われていた。 「うぐぐぅ、また腹が大きくなったかも。」 キングドラがふと自分のお腹に目をやると、これまた見事な楕円形。でっぷり丸まると肥えた体である。 元から妊娠8ヶ月みたいに突き出たお腹をしている種族とはいえ、これは酷い。 だがいくら食べても無料、というこの店の特性が、歯止めを効かなくしているのだ。 しかも、どんな料理が次に来るのか・・という期待から、なかなか席を立てない。 結果として、自分の食べれる限界をも超えた量を胃におさめては、毎日帰り際に苦しんで呻く程に食べていた。 料理を食べる合間に飲むミックスオレも、いったい何リットルあるかわからない。 彼らの席のカウンターには気づけばどんどん空の皿が積もっていき、店員らしきヤミラミ達がそれを回収していく。 また、回収作業以外にもヤミラミ達はせっせと働いていた。 「ねー、店員さんん〜〜、今来た料理、3皿取ってくれるー?」 太りに太ったカビゴンが、寝たきりの姿勢でお願いをする。 そうしなければ、まともに料理を取れないのだ。起き上がる事は可能だが、体が重すぎてだるいらしい。 しかし堕落した行為は、彼の更なる肥大化への道を加速させる。 見る物を圧倒する巨大なお腹は、平均個体のカビゴン(つまり400kg以上)を跳ね上がらせるほどの弾力性を持っていそうだった。 ただ全てのポケモンが同様に巨大なわけではない。一見、中年太り程度にふっくらとした者もいる。 「甘くて…美味しい・・・。」 チョコレートパフェを黙々と食べ続ける青い犬っぽい奴。ルカリオだ。 本来ならデザートであるはずのそれらを、まるで主食扱い。 チョコレートに目が無い彼は、特大のエクレアやチョコチップアイス、生チョコレートクリーム、プリンチョコ、とにかく糖分の多いお菓子類を好きなだけ食べていた。それこそ、鼻血が出ないか心配したくなる程度に。 確かにルカリオは、他の連中に比べると太り具合は控えめに見える。 だが、実際のところ彼は「くびれ」があったはずの種族なのだ。 その事を考えると、ぼてっとした体、明らかに膨らみを持ったお腹や頬は十分に彼が太りすぎている事実を物語っていた。 中には、こんな親子連れのガルーラもいた。 「はー美味しかったわ。でも、もう入らないわね・・・けぷ。あんたも、かなり残ってるわよ?」 「うぅん、母さん僕もうお腹いっぱい。」 子供にはかなり厳しい量なのだ。一品食べきるだけでも十分な大食らいだと認定できる。 「困ったわね、、、あ、店員さん?もしよかったら、残りを包んで持ち帰り・・・なんて無理ですよね。」 ヤミラミは即答する。 「ええ、申し訳ありません。当店では無料サービスの提供をしておりますが、持ち帰りは残念ながら。 ただ余ったものはこちらできちんと処理させて頂きますのでご安心ください。」 「あらそうなの?ごめんなさいね。それじゃ、私達はこの辺でおいとまさせて貰うわ。」 どっこいしょ、と重たくなった体を力強い脚で立ち上がるガルーラ。失礼と思うが、今の彼女の袋には子供が入る余地があるのか心配だ。 どうやら無理なようで、子供はとことこと彼女の隣を歩いて出口へと向かった。 「・・・・またのご来店を、心よりお待ちしておりますー。」 ペコリとヤミラミは頭を下げて、お決まりの文句を言った。 そして、ちらりとまだ大量に残った料理を見ると、無言のままそれを持ち上げた。 一皿とはいえ、かなりのサイズで重量もある。 それをヤミラミは、従業員専用の扉の向こうへと持っていった。厨房とは別の方向へ。 扉の先は、奥へ進むに従って薄暗い道が続いていた。 「お疲れ様」「おつつ〜」 すれ違うヤミラミ達が挨拶をする。相手は、空になった軽い皿を運んでいるから足取りも速い。 そして、料理の食べ残しを運ぶヤミラミは更に奥へと進む。 そして目の前に立ちはだかる、大きく重い扉を開けて中に入った。 広い、足音がこだまする空洞みたいな空間。地下のヨノワールがいる部屋だ。 「次の皿をお持ち致しましたー。」 「フゥフゥ、うむ、ご苦労・・・・げぇっぷ。」 返事をしたヨノワールは以前に比べると、非常に声が野太くなっていた。 それもそのはず、今の彼は以前とは比較するのも馬鹿らしくするほどに、肥え太っていたのだから。 否、そのシルエットは“膨らんでいる”という表現が合っている。 とはいえ、液体や気体で膨らんだのではない、紛れも無く食料を腹に入れすぎたがゆえにエネルギーを蓄えたその結果なのだ。 ヤミラミは持ってきた食べ残しを、主人であるヨノワールへと捧げた。 仰向けになっている彼のお腹が、口のようにくわっ!と開く。 すると、まるでブラックホールでもあるかのような怪しげな空間がそこにはあった。 “そこ”へヤミラミは一切の遠慮や躊躇も無く、皿をかたむけると料理を丸ごと放り込んだ。 「ぐふっ・・・んぐ、、ン。」 ヨノワールが、ほんのちょっぴり辛そうな声を出したがすぐさま普段の冷静な指示でヤミラミを下がらせる。 彼の立派に膨れた風船体は、直径5メートル…もしくはそれ以上あった。 ウェストを図ろうものなら、間違いなく普通のメジャーでは補い切れないし、図る者も非常に手間がかかるだろう。 腹だけが巨大になったわけではなく、腕周りも以前の数倍で、「枕にしたい彼の腕ランキング」で上位になりそうな・・・いや、抱き枕として利用可能なぐらいかもしれない。 そんな腕を曲げて、彼は取り付けた腕時計らしき物を見る。 「ふぅ、ふぅ、、、メーターは・・・50%といったところか。まだまだだな、ぐふっ。」 再び苦しそうな声を出して、自身の腹をさする。 彼はこのようにして、“捨てられるはずの、無駄になる料理”を平らげ続けていた。 非常にまどろっこしいやり方だが、そうしなければエゴカウンターのエネルギーが溜まらないのだ。 次々と彼の部屋には、廃棄処分される事になった「余り物」が運ばれる。 ヨノワールが店のどの客よりも食べる量は多く、今の太り具合・膨らみ具合も納得できるものであった。 「うぐふぅーー・・・、ふぐぉぇっぷ・・・!」 何度も吐きそうになりつつも、休憩せずにヤミラミ達の持ってきた食べ物をひたすら食う。 とにかく食う。むく、むくぅっと彼の体が見るからに膨張していく。 「げほっ、ゲホ!!フッ、ハァ、フゥッ、、、はぁあ・・。 そろそろ圧縮しておく頃合…か。」 そう言うと、ヨノワールはパンクしそうな丸々膨らんだお腹に力を込め始めた。 [ググ、グギュギュ・・・!] メタボなどという言葉では表現し切れない彼の体が、徐々に縮んでいく。 するとどうだろう、はち切れんばかりの超巨大風船腹は数時間前の風船腹へと戻ったではないか。 変わってないって?失敬な!こんなに引き締まっただろう! とはヨノワール談。 実はこの“超圧縮”は既に何度も繰り返されていた。 しかし、容積を謎の力で縮める事は出来ても質量は変えることは不可能。 つまり彼の体重は信じられないほどに増えていたし、蓄えたエネルギーも尋常ではなかった。 目的の為とは言え非常に辛い所業である事は間違いないだろう。 わざわざ料理を無償提供しているのは、この為だ。客がぶくぶくと肥えるのは過程であって目的ではない。 しかしヨノワールの読み通り、体も心もたっぷりと贅肉を溜め込んだ彼らは“無料(タダ)の料理”を処分することに対して見事に抵抗感を失っている。 自分達が、どれだけ酷い事をしているか自覚が無くなっているのだ。しかも周囲がやっていれば、尚更抵抗は減る。 翌日。 店に来る客のポケモン達は更に肥え太り、その上、店側に対する感謝の気持ちすら薄れて麻痺しつつあった。 食欲は増えて沢山の料理を食べたいと思う一方で、様々な料理を食べるには一品が多すぎる。 結局、少し更に料理が残っていても、彼らは気にせず次の皿へと手を伸ばすのだ。 最もヤミラミ達の皿を下げるタイミングもよかった。 なかば、誘導するように、彼らが気づかないレベルで次から次へと料理を進めて、余った品は少しでも躊躇したら素早く取り下げていた。 ヨノワールは更に巨大化して、本当にパンク寸前と思えるほどになっていた。 だが相変わらずそのお腹は柔らかく、ヤミラミ達にマッサージをされている時もムニムニとまるで肉球を押されているみたいだった。 そして、エゴカウンターのメーターが60%を超えてから1ヶ月が過ぎた…。 ============     補足説明 環境保全の強硬派と穏健派で何度も衝突があった。 ヨノワール VS ??? 〜あらすじ〜 無料飲食店で好き放題食べる客たち。ぶくぶくと肥え太った彼らは体だけでなく心にも贅肉がたまっていき、無駄に廃棄処分する事すら気にしなくなっていった。 そんな自分勝手なエゴにより生まれる“負のエネルギー”を凄まじい量の料理と共にヨノワールが貯えていた。 パンパンに膨れる体、そして新たなモンスターを生み出す為のエネルギー充填率は60%を超えて−−−。 ======== ヨノワール「ふう、ふー、ぶふっ、うぅう…っ!!」 苦しそうに呻く地下室のヨノワール。相変わらず彼のお腹は見事なまでにパンパンに膨れ上がっていた。 超圧縮により、それは見た目以上の密度を誇っており、実際彼が仰向けに倒れている床には「ヒビ」が見えていた。 あまりにもエネルギーを多く取り込んで太り、重くなり過ぎたためだ。 心配そうにヨノワール達が彼に声をかける。 「あの、大丈夫ですか…?もう少し、ペースを落とした方が。」 「構わん…もっと、だ。」 「はいわかりました。しかし無理はなさらずに、、、、;」 だがヨノワールの命令に背く事は出来ないし、そんな気もなかった。 † 店内は、一月前に比べて変化が明らかだった。 「げぇっぷふぅーーーー!」 特大のおくびをもらすカイリューは、大口を開けて再び料理を胃袋へとかっ込んだ。 体重は以前までの5倍以上に増えてしまい、4桁の大台を楽々とクリアしている。 「あぁ美味しい。本当にどれも無料だなんて、今でも信じられないや♪♪ 次はあのデザートを食べようかな〜」 「お客様、こちらの皿はお下げしても宜しいでしょうか?」 「ん?別にいいよぉ。けっぷぅ、、ふぅふぅ。ありゃ、届かない・・・ごめん店員さんお願いー。」 あまりに太りすぎたカイリューは、以前見たカビゴンのように自分ではろくに動かずに怠けるようになってしまった。 そして食べ飽きた物には見向きもしていない。 もっとも、一品の量を彼らが気づかないように増やし続け、今では単品の料理でさえ常識を逸脱した量となっていたのだからそれを食べ続けられないのも仕方ない。 だが、今では食べ残しをいちいちヤミラミ達は運ばない。あまりにも量が多く、今のローテーションでは追いつかないからである。 なので、処分する料理はダストシュートのような場所へと落とす。それらは地下のあの部屋へと運ばれて、自動的にヨノワールの体へ落とされる。 今の彼は、一切休みが無い状態でひたすらエネルギーを蓄えて、その体を膨張させ続けていた。 「ふっ、はぁっ、ふぅ、、ぐぶふ!」 何度も何度もお腹をさするが、気休めにすらならない。何度も何度も体内に取り込んだ料理を圧縮してエネルギーへと転換させる。 だが・・・ [ムク、ムクッ…!!] 「ヨ、ヨノワール様!お体がまたっ・・・!!」 やはり、彼の超圧縮にも限度がある。体力が落ちると、再び彼の風船腹は、文字通り空気を入れた風船のようにぶくぅっと大きく元に戻ろうとした。 「ハァハァ、うぅう、苦しい、、、っ。 だが−−−」 そうも言っていられない。未来を守るため、私は… //// 作物が育たない大地、濁りきった空、強すぎる日差し、木々を溶かす雨、、、 ヨノワールは荒廃した未来の姿を思い出し、決意を新たにする。 遠い未来、この世界は見る影も無いほどに廃れていく。 予測ではない、自らの目で見てきた「事実」なのだ。 実現させない。未来を変える。その為に、私は部下のヤミラミ達を引き連れて原因の基盤となった時代へとやって来た。 意識を根本から変えるには、多少なりとも痛い目に合わなければ誰も反省はしない。 たとえ強引な手段でも、私は私のやり方で世界を救って見せよう。 //// 今までも様々な方法で、星に住む者達の意識改革を試みた。 「エゴ」を集めたエネルギーで怪獣を生み出した。だが幾度も妨害に会い成功しなかった。 多少なりとも自分たちの行動を「反省」する者達は増えたが、しかし一時的な者に過ぎない。 未来を変えるほどの事はしていない。 ヨノワールは、今度こそは、という強い想いでひたすらエネルギーを蓄えていった。 エゴカウンターはとっくに100%を振り切っており、いつでも怪獣を生み出す事は出来るのだ。 「ぐぅう、んぐふーーっ、ふぅふぅ、、、!」 ひたすらに膨張を続けるヨノワールの体。パンパンに張り詰めた体を超圧縮しては、再び滝のように注ぎ込まれる余り物の料理を腹に収めていった。 † 「あーん、このイチゴパフェおいしい〜♪」 妹のラティアスは、27個目のデザートを平らげる。 ずいぶんと汚く食べており、底の方にはまだ随分と余っていたがすぐに次のカップに腕?を伸ばした。 「いや、流石に少し食べすぎじゃないか?」 兄のラティオスが心配そうに声をかける。赤い風船は、青い風船の数倍に膨れ上がっていたのだ。 食べすぎでお腹が膨れたのもあるが、それ以上に日ごろの積み重ねによって彼女の体重は****kgも超えていた。(レディの体重は秘密につき非表示。) 隣にいるはずの、キング・オブ・メタボなルギアやカビゴンは、あまりにもサイズが大きくなりスペースが足りないので今では大型[肥満]ポケモン専用の2号店でバクバクと食べ続けている。 「うう〜っぷ。しかし、んまいなぁ。」 ルギアは自分の隊形の事などすっかり忘れて、住処に帰らずに店に住み込んでは四六時中何かを食べていた。 そのせいで彼のお腹はパンク寸前と思えるほど膨らんでいるのだが、それでもまだまだ余裕があるのか毎日膨張を続けている。デザートを食べ終えて、頬っぺたについた生クリームをぺろりと平らげる。 しかしデザートを終わると、再び前菜代わりに料理を一品、そして主食となる料理を何十品と食べていくのだ。 今のルギアは、助けを借りなければ満足に起き上がれないかもしれない。 スマートだったルカリオやバシャーモも、この店の常連になってからというものブクブクと肥え太ってしまった。 イーブイ兄弟たちはコロコロと丸くなり、お腹はたぷたぷして地面を擦るほど。 リザードンに誘われて遊びに来たカメックスとフシギバナも、以前の体重の3倍・・・否、それ以上になっている。 ちなみにリザードンは腹回りが数倍になり、体重は想像にお任せするほど。椅子を何度も破壊しては、新しい強化椅子へ案内されるのだった。 怠惰になり、無意識レベルで我が侭になった彼らはヤミラミ達にほとんど食べさせてもらい、飽きたら捨てて新しい料理を取ってきてもらう事の繰り返し。 ヨノワールは、それらを食い更に超え太っていく。 そして、とうとうその時が近づいてきた・・・・ 「んっ、ングぁ・・ア、、、、!」 ゼーハァ、ゼェハァと、息を乱してヨノワールが喘ぐ。世話役のヤミラミ達は、少しでも気を紛らわせようと彼の超巨大なボール腹をさすり続ける。 彼が一日に摂取する料理は、測定不能なほど。 本来なら体が耐え切れない量だが、ゴーストタイプという特異体質があって、かろうじてエネルギーを溜めることが可能だった。 「(ヨノワール様、、、あれほど苦しんで、可哀想に。 ・・・でも喘ぎ苦しんでるヨノワール様、なんだかちょっと可愛いかも)」 なんてちょっとドキドキしながら見守るヤミラミ達は置いといて、 今のヨノワールは、まさに風船と呼ぶに相応しかった。 「ハァーーッ (バクバク、ゴクン)・・・ハァー (ムシャッ、バクン!ゴブッゴブゥッ)・・・、フゥ、、、ン?!ンググッ!!」 むくぅっと抑えきれない体が何度も膨張や収縮を繰り返す。 ミシミシと音を立てて床と、腕に巻いたエゴカウンターが破滅の音を奏でる。 遂に、バキンと音を立てカウンターが破壊される。 それにしてもカウンター類というものは、何故いずれも測定不能の領域に陥ると壊れてしまうのやら。 と、同時に床まで深い亀裂が入り、危うく部屋の倒壊の危機だった。 「フ、フフフ・・・生まれるか、、、全てのポケモン共を恐怖に陥れる存在が・・・」 そして、彼の蓄積したポケモンたちの「エゴ」エネルギーは昇華され、新たな怪獣が爆誕した。 身の丈、30メートルは余裕でありそうな・・・巨大な姿が街中に突如現れたのである。 ■□■□■□■□