マンプクコロコロ SOS 〜4〜 〜あらすじ〜 客のポケモソ達:罠とはいえ、自業自得で超肥満化。ぐうたらな性格、かつ食料を捨てる事に罪の意識を持たなくなる ヨノワール:エゴのエネルギーを集め続けるが、今回は料理とともに吸収するため凄まじく太る。超圧縮を繰り返しても腹パンパン。見た目は風船デブだが 怪獣:??? たまった「エゴ」エネルギーにより生み出された。とあるポケモンの姿をしている。・・・エゴのエネルギーってなんだ。 ========= 「ぷはぁー、今日も美味しかった。」 膨れたお腹を上下に揺らしつつ、ガブリアスは笑顔になって帰路についていた。 本日平らげた料理数は、少なく見積もっても20皿を越えている。しかも一品の量がとんでもないデカ盛りだから、彼のお腹が巨大化しているのも頷ける。 彼がこの無料飲食店にやって来たのはここ最近のことだが−−−それでも、「くびれ」を失うには十分だった。 よたよたと重くなりバランスの悪くなった体のまま歩く。 すると、ズン・・・とどこからか重低音が響いてきた。 しかもその音は連続して聞こえ、だんだんと近づいてくる気がした。 「な、なに?」 地震と思ったが、揺れるのは一瞬だし断片的過ぎる。 どこかで工事をしてる音と思ったが、そんな感じでもない。 なんというか、町全体が揺れているように−−− ズン・・・ズンッ・・・・ズンッ!! 【R"AA"A"A"AAAA!!!!!】 轟っ、と凄まじい音が周囲を大気ごと揺るがす。否、あれは鳴き声だ。 「なに、、、あれ、、、?」 ガブリアスは、自分の頭の中で該当する物を思い浮かべようとしたが無理だった。 あんな「生き物」は見たことがない。 遠くに見える存在が、建物を破壊しながら闊歩している。 ふわふわで、ぷにぷにとした体。黄色に近いオレンジ色。 長い尻尾の先端はとがっており、稲妻のようになっている。 手はまるでパンのようにやわらかそうで、先端が焦げパンみたいに染まっていた。 【ラーイ!!】 白いお腹が特徴的な、我々もよく知るライチュウというポケモンの怪獣である。 しかし一般的なライチュウとは比較できないほど規格外の相手であった。 それは、強いてあげるとしたら体の大きさと言うべきか。 とにかく巨大、かつ、あまりにも、余りにも太い! 超巨大な水風船腹を携えて、それを地面を破壊せんばかりの勢いでゆったり上下に揺らしながら移動していた。 その全長は30メートルを軽く超えており、体重は数千トンかそれ以上であろう。 本当に丸々と太っており球のようだ。 普通に立っているだけでも下っ腹は地面に余裕でついていたし、両腕は膨れすぎた胴体により若干持ち上がっていた。 頬っぺたはぷっくぷくで、つまんでいないのに横に伸びて丸い顔となっている。 両足はその腹のせいで完全に開ききって,歩き方が不自然な上に大仰な仕草でのっしのっし、ズシンドシンと地響きを繰り返して起こしていた。 そんな相手を見て、ガブリアスや周囲にいたポケモン達は腰を抜かしそうになった。 「あわわわ、に、逃げなきゃっ!」 しかし重たい体では満足に走ることすら不可能である。 その様子を、モニター越しにヨノワールは見ていた。撮影は現場のヤミラミ達。 「さぁ行くがいい、、、伝説の雷獣よ。その雷で全ての者たちに思い知らせるのだ。自分たちが今までしでかした事の過ちを!げぇっぷぅ。」 ヨノワールは雷獣へとエネルギーを送るために、今現在もはち切れんばかりのお腹に料理をつぎ込んでいる。正直しんどいが、これも未来の為(?)と思えば頑張れた。 【ラァアーイ!ヂュウゥ!】 バチバチと帯電した雷獣の電気量は凄まじく、もし雷を受けたらひとたまりもなさそうだ。 ガブリアスはでんき技に強い体質とはいえ,どうなるか分かったものじゃない。 しかし四方に散らばる素早い電気を今の太った体で回避するのは到底不可能であり、案の定彼は雷の餌食となってしまった。 「うわぁっ!」 身構えるガブリアス。だが痛みも無ければ、衝撃も無かった。そればかりか、なんだか少し心地よいぐらいである。もちろんガブが突然Mに目覚めたわけでもない。 「(な、なんだろうこれ、凄い満たされていく感じ) ウッ、あれ・・・?」 ふと、自分の体を見てガブリアスは目を丸くした。電撃を浴び続ける間、お腹が…というより全体的にムクムクと膨らんでいたからだ。空気や水で膨張するというよりも、凄い勢いで太っていた。 「Σ何これ??!ハァ、ハァ、うっ、げぇ〜〜っぷ!」 みるみるガブの体は丸みを帯びていき、巨大なボール腹は体全体の丸さへと変化していく。 重さが耐えられなくなり、遂にはドシンと尻餅をついてしまった。 強制的に数ヶ月分の食料を食わされて早送りされたみたいに太ってしまった。 ガブリアスの付近にいて、逃げ切れなかった連中も同様に丸々として、パツパツな体となり、4つ足の者は地面に足が届かないほどお腹が膨れ上がり巨大化している。 そう、実はあの雷獣の放つ電撃は凄まじい高エネルギーが結集して放たれたもの。 とんでもなく迷惑な代物であった。 5:マンプクコロコロ SOS ~10万ボルト?の恐怖~ ==== ヨノワールが集めたエネルギーによって生み出された「雷獣」(ライチュウ)は、あらゆる対象を太らせ・膨らませるエネルギーを伴った電撃により街に住む者達を次から次へと膨張させていった。 ポヶモン達は戸惑い、どうする事も出来ない。 「はぁはぁっ、お前たちこっちだ!早く物陰に!!」 ニドキング一家がドタドタと重たい足取りで走る。後ろには巨大な風船・・・もといコッペパンの怪物・・・ではなく、ライチュウがせまってきていた。 特に彼らを追っている訳ではないが、たまたま通る道(幅が足りないので建物を破壊しつつ)に、ニドキング達がいただけである。しかしニドクインや息子達の姿が近くに見えない。 一番足が遅いはずの私が先頭を維持し続けるとは思えない・・・ニドキングは不信に思って後ろを振り向いた。 そこには、目を見張るほど越え太り、変わり果てた姿となったニドクインの姿があった。 どうやらライチュウの肥満化電撃(以下10万膨ルトと命名)を浴びてしまったらしい。 体は倍以上になって歩くのが困難となり、すり足でなんとか移動していた。手足も更に太くなり、尻尾は引きずったままだ。 「ハァハァ、あなた、、私の事はいいから、この子達をお願い!」 「おとーさん、うぅ〜ん、、、」 彼女の足元にはコロコロと丸くボールみたいになったニドリーノやニドラン♀達がいた。 いずれも10万膨ryの餌食になったに違いない。 無料店でたらふく食べた後で、動きが鈍くなっていたのが災いした。 「お、お前達!?」 これでは、逃げ切れないどころかまたあの電撃を受けてしまうに違いない。 ライチュウはバリバリと四方に電気を飛ばしている。家族の近くに何度も直撃しては霧散していく、超エネルギー。 そして、再び動けないニドクイン達に雷撃が・・・ 【バリバリバリ!!】 強い閃光と音。ニドキングは迷わず自分の体を盾にして、その電撃を背中に一身に受けた。 「うぐぐぐ、うぅう、あがぁっ!!」 ムムムムムクゥウウ、と彼のお腹がみるみる膨張を始めた。体が多すぎるエネルギーを瞬時に変換して蓄えていく。体が熱い。満腹感に似た心地よさもあるが、やはり食事と同様に過剰になれば食べ過ぎと同様に苦しさを増していく。 「あなたっ!」 夫(ニドキング)の膨らんでいくお腹が、どんどん大きくなっていくのを背中に感じた。自分を守ろうと回してきた腕もぶわっと太くなり以前の足の太さにも匹敵している。 ニドキングは膨らむ体に押しやられてどんどん両脚も開いていった。ライチュウは溜まったエネルギーを放出するために、あちこち無作為に10万膨ルトを放つが・・・足元に近いニドキングはその電撃を何度も浴びる羽目になっていた。 「ぐわぁあっ!!あ、あ・・・、(ゼィゼィ)、んぐぶっ!(ムク) ハァー、ハァー、うっ?!(ぷくぅーっ)」 ボンっと妊娠にたとえるなら数ヶ月かそれ以上、加速的に彼の腹部の膨張が進行した。 あまりに急激に太って膨れたために、同じく大きくなったニドクインすら押し飛ばしてしまいそうな程だった。 足元にいる息子達を守るために、体をいっぱいに広げていたが、今ではそこに居るだけで家族全員を守る防空壕みたいになっている。 その後も、何度も何度も何度も電撃を受けたニドキングはぶくぅ〜〜〜っと体が膨らんでいき、同じく巨大化したはずのニドキングの5倍近い全長となる。 このままでは、体が限界を迎えてしまうかもしれない。 だが、ライチュウは途中で向きを変えるとどこかへと行ってしまった。 食品加工する工場から漂う良い匂いに釣られたのだ。 ========== 6マンプクコロコロSOS ======== ザングースは、少し困った事になっていた。話は数週間前に遡る・・・ 「ち、俺とした事が・・・げぷ。」 彼は排気口から食品製造工場に忍び込んで、そこでたらふく食い物を盗み食いしていたのだが、 調子に乗って三日三晩食べ続けて肥え太ってしまい、脱出できなくなっていたのだ。 幸いなことにろくに監視もなく自由にできているのだが・・・ 痩せればそのうち出られるだろう。という安易な考えの下、食っちゃ寝を繰り返した。 今では突き出たお腹は更に前に出て、滑らかな曲線を描いていた。 「カビゴンじゃあるまいし・・・なんだこの腹は。」 自分で少し呆れてしまう。いくらなんでも太りすぎてしまったな、と。 しかし彼は深く物事を考える性質ではない。食料庫に積んである物が減れば、自然に痩せるだろと、また甘い考えで一日を過ごしていく。 そしてある日の事・・・ ズシーン、ズシーンという重低音と共に、建物が揺れているのを感じた。 ザングースは口に運ぼうとしたお菓子をとめて、周囲を見渡す。 「地震か・・・?」 すっかり超肥満体型になってしまったザングースは起き上がって確認するのもめんどくさくなっていた。 現在、彼の体重は驚くべき事に500kgを突破しており、風船が膨らんだみたいにお肉がパツパツになるほど全身に蓄えられていた。 まぁ仮に地震だといっても、ポヶモンの技で慣れてるザングースは気にせずお菓子を再び口へ運ぼうとして・・・ 「ラアアアアアイイ!!!」 突如、巨大雷獣[ライチュウ]が建物の壁をぶち破って目の前に現れたものだから、あんぐりと口を開いたままお菓子を自分の腹の上に落とした。しかも、どうやらその巨大な大福餅みたいな白い腹で壁を崩落させたようだ。 「うわぁあ?!なんだこいつ!」 度肝を抜かれて、ザングースは後ずさりした。気持ちだけで、実際は全く下がれていないのだが。 ライチュウは鼻でクンクンと匂いを嗅ぐと、山積みになった食料を見つけて目を光らせた。 しかし、当然ながらザングースとも比較にならない風船腹を持つ巨体では、手が届かない。 だからライチュウはその体を前方に倒し始めた。 「え、え・・?」 ザングースは目の前が真っ白になった。ライチュウのお腹によって。 太った彼の体では、逃げる事も出来ずに、あっという間に直径十数メートルもの柔らかなパツパツのお腹に押しつぶされてしまった。 《《ドッズゥウーーン!!》》 「ラーイ、ライ♪♪」 ライチュウは限りなくうつ伏せに近い何かの姿勢となり、(お腹が余りにも大きすぎて、90度以上に傾かないと顔が届かないのだ)山積みになった食料を美味しそうに食べ始めた。 その勢いたるや凄まじく、掃除機で吸い込んでいる速度と思いたくなるほど。食料の山はライチュウの一口だけでも見る見る減っていった。 「んー!んむぅーー!!」 ライチュウの柔らかい腹に押しつぶされたザングースは、見事に全身を包まれて満足に呼吸も出来ない。 相手の腹は非常に軟質でぽにょんっとしていたので、圧死せずに済んだが苦しいのに変わりは無い。 しかもザングース自身、食べ過ぎて腹が膨れていたのだから、そこを押されるのが辛いのだ。苦しみはそれだけで終わらない。 ライチュウが蓄え続けたエネルギーをまた放電し始めた。 当然ながら、腹の真下にいるザングースはその餌食となる。 「ンムゥ、ムグウゥウウ、、、ム?! (ん、な、なんだ・・体が、ますます苦しくなってきやがった?!)」 なんだか体が熱い。さっきまでの満腹感に似た何かが体を支配していく。多すぎるエネルギーが、ザングースへと注ぎ込まれていく。 「ンムゥ、ムグフッ!!?」 むくむくむくぅっと大きくなるザングースの太った体。だが、ライチュウに押しつぶされたままで満足に膨らめない。彼が膨張し押し上げる力など、ライチュウの超巨大かつふくよかな腹にとってはあって無いのと一緒。 直径数メートルのゴムボールの中にマシュマロが敷かれてあるぐらい、差があるのだ。 外側からの圧迫と、内側からの膨張の2重の圧力によりザングースは暴れたいほど苦しくなってきた。 「グムゥー、フムッ、フゥフゥ!!」 誰か助けてくれ、と叫ぶ事も出来ない。大の字に体が押しつぶされているせいで腹を摩ることすら出来ない。 ライチュウは食糧庫に積んであった食糧をその後も食べ続け、巨大な腹をパツパツにしていった。 圧力が上昇し、ザングースは更に苦しくなった。 ライチュウは自分の腹が敷いている存在に気付きもしない。食べる事に夢中なのだ。 † その様子を、モニター越しに見るヤミラミ達。 「ヨノワール様、なぜ雷獣はあのような行動に? ヨノワール様とリンクして、あの雷獣には“この街すべて”の処分される食糧を自動的に供給され続けていると思うのですが。」 言いながら、皿の余った料理を彼の腹にどっさりプレゼントする。 「ふぅっ、ふぅっ、奴は、、、ングゥッ。(ゴクン) 確かに、エネルギーを絶えず送り続けられている。だが、あの巨体を維持する為の本能・・・食欲は、自分で食べる行為により初めて満たされるのだ。あれだけの体重と身長があれば、なおさら。 しかし、体には超過上になったエネルギーがあり、溜め続ければすぐさま限界が来てパンクしてしまうだろう。 だからああやってエネルギーを放出させ続け、げぇっぷ!!・・ごほん、放出を続けているのだ。 私が食べている食糧だけでない、今ではここから半径数キロ圏内<全て>の捨てられる食糧のエネルギーが雷獣に与えられるようにしているからな・・・ちなみにその範囲もどんどん広がっている。」 「なるほどー。」 納得したヤミラミは、変わらずヨノワールへ食糧を流し込み続ける作業を、バケツリレーでもするように繰り返す。 「フゥフゥ、それより、少しばかり、ペースが、はぁっはぁっ、早くなっていないか・・?;」 流石のヨノワールも苦しい。なにせ、何度も圧縮を繰り返して誤魔化しているとはいえ食べた量は何も変わらない。もしルギアやカビゴンが同様の量食べていたら、あの巨大ライチュウと同じぐらいのウェストサイズになるぐらいは既に食べていたのだ。 「すみませんヨノワール様・・・客の、、その、特に2号店の大型ポヶモン達が非常に肥え太り、食欲と同時に、残して別の料理を食べるペースがどんどん速くなっておりまして。」 「げふぅー、、、仕方ない、連中がそれだけ後で苦労し、反省する為だ。私も頑張らねばなるまい、、、気弱な発言だったな。よし、次もどんどん持って来い!」 「は、はい!実は後ろがかなりつかえていましたので、、、では遠慮なく。」 「え、ちょ、待っ。。。ぬぉおお?!」 再びぐんぐんと膨張を始めるヨノワールのお腹。ヒトコトで現すなら凄い事になっている。 † 場面は再びザングースへと戻る。 「(ぐふぅ−−−、く、苦しい。。。!!)」 彼は既に意識が朦朧としていた。あの後も、何度か10万膨ルトを浴び続けたザングースは、おそらく体重が4桁kgを突破するほどのサイズになっており、腹ん中がパンパン状態。まん丸お月様状態と化していた。 そのうえでライチュウの空前絶後の超風船腹に押しつぶされているのだから、仕方ない。 「ラーイ、、、げぷぅ。」 ライチュウは満足したのか、ようやく体をどけると工場の食糧庫を後にした。 「やっと行ったか、、、なんだ、ったんだアイツ。 へへ、盗み食いしてた天罰ってやつか・・・・ぐぶぅ」 地面に完全にめり込んで腹だけが天井に向かって突き出た形となっていた、山みたいな体のザングースは、その言葉を最後に気絶した。彼が反省して、更生するのはまた別のお話。そんな話は表に出ないだろうけども。 暴れまくって自由に街を破壊し、食糧を蹂躙して歩く巨大な雷獣。 なんとかして止めようと、立ち上がったポヶモン達がいた。 「目には目を、歯には歯を、、、!」 サイホーンが一歩前に出る。 「怪獣には怪獣を!(_?)」 サイドンがその横に進み出る。 「俺達、“怪獣対策部隊”が止めてやるぜ!」 そしてドサイドンが2匹の中心から、どんっとその巨体を突き出した。 彼らは、今までも怪獣が現れると出てきて治安維持を守るために頑張る部隊であった。 よくやられる噛ませ犬的な自*隊役とか思ってはいけない。 「はぁはぁ、か、怪獣対策部隊のサイドンさん達だ!」 ぶっくぶくに膨れ上がった被害者のサンドが声をあげて喜んだ。 「あいつをっ、何とかしてくれぇーっ。」 同じく10万膨ルトを食らいパンパンの体になったドラピオンが、懇願した。 「くそっ、店で食いすぎて動きが鈍くなった所であんな奴に出会うなんて-−−この俺様がこんな惨めな姿に、、、 奴をぶちのめしてくれ!」 くびれが消失し、風船球と化したゾロアークが、憎しみのこもった目で頼んだ。 「・・・よし、行くぞお前達!」 「おお!」 高さ 2.4m 。重さ 282.8kg の巨体を誇るドサイドンが戦闘となりサイドン達が走ってついていく。 そして30mを余裕で越える、ウェストが凄まじいサイズとなっている巨大な雷獣の前に立ちふさがった。 「これ以上街は破壊させん!ぬぉおおおお!!」 ドサイドン達は、ぼよぉおんと柔らかく、しかし強い弾力のあるライチュウの腹に突進した。 「ライ?」 ズズズ、ズ・・・とドサイドン達の踏ん張る足が地面を抉る。 自分達の何倍ものウェイトを誇る巨大怪獣を、なんと3匹で足止めすることが出来たのだ。 だが、これから起こる悲劇を誰が予測しただろうか・・・ 「ライ、ラーイ!」 食糧を探しているのに、いきなり止められたライチュウは不機嫌になった。 そして、軽度の興奮によって無意識下で放出していたエネルギー・10万膨ルトを放った。 するとどうだろう。いつもなら、四方八方に飛び散って、それを偶然浴びたもの達がぶっくぶくに肥え太ったり、まるで風船のように丸々と膨らんでいた。 だが、サイドン達は・・・ 「う、こ、これは!!??」 バチバチバチぃ、と巨大ライチュウから生み出される高エネルギーがガクンと向きを変えて自分達目掛けて飛んでくるのだ。 電気エネルギーに酷似した、この電撃は彼らの“ひらいしん”に向かってしまったのだ。 「ぐ、ぐわぁあああーーーー!!!」 代謝が活発になりドクンドクンと鼓動が早くなる。体が熱い、、、そして、腹が苦しい。まるで1年分の食糧を急に詰め込まれて一気に吸収したかのような感覚。 ライチュウにハグするような形で抑えていたサイドンやドサイドンは瞬く間に自身の膨れ上がったお腹により突き放され、尚膨張を続けた。 「あぁ、苦じぃ、うっ、うぅううげぇええっぷ!!ぐぇええっぷ!!?ひぐぅ、うっ、、アァッ!」 横線の入ったサイドンのお腹は大きくなると、余計に太って見えるが、それはそれは立派な形と大きさになっていった。むっくり、ぶっくりと体が大きくなり、足は左右に押され、背中や尻尾も丸みを帯びていく。 二の腕に肉がついたと思ったら、腕がパツパツになって以前の胴体ほどになっていた。 頬っぺたも非常にぷくぷくとして、涙目になった彼らの水滴をしっかりとそこで捉えて溜め込んでいた。 「くっ、苦しいよーー!」 サイホーンは頑丈なイメージから一転、表面がつやつやしてお腹がパツパツ、背中が尖っているだけの、プリンかピカチュウぐらいの触り心地に見えるポケモンになっていた。実際に今のサイホーンのお腹の柔らかさは、カビゴンに匹敵する弾力と柔軟性である。(当社調べ)しかも足が完全に地面に届かない激太り状態。 限界まで腹が膨れておしあげられた足は、ばたつかせる事も出来ない。 ドサイドンはみるみる巨大化して、ゴローニャもビックリな丸いシルエットと化してしまった。 それでも止まらずに膨れ続けて、ウェストが元の3倍かそれ以上となってしまった。 「股がさけちまいそうだっ、あ、足がっ、太ももが攣(つ)っちまぅううっ!!」 パンパンな腹も苦しいのは当然だが、その体の膨張作用によって広がっていく両脚がどうにかなってしまいそうだった。 「ラーイ!!」 ライチュウはぷんぷんと怒った顔で、彼らを蹴り飛ばすと、まるでボールを転がすみたいな勢いで何処かへ飛んで・・・行くわけが無かった。体重が重すぎて。 「ぐふっ、か、体がパンクしそうだっ、ヒッヒッ、フゥ!」 息も整えることが難しいぐらい膨らんだサイドン達は、結局何の役にも立たずお役ごめんとなった。 ====== プクコロ 7 大型連中専用の2号店で、ルギアは30皿目の料理を貰い始めた。 ルギアはもう寝たきりの状態で、はち切れんばかりの巨腹を抱えてろくに動けないほどに膨れてしまったので、完全にヤミラミ達に頼りきる状態なのだ。 「ルギア様、はいアーンしてくださいー。」 「あ、あぁ、ングング、ゴクン。」 「はいルギア様、続いて・・」 少し呼吸する時間だけ与えて、ヤミラミは続けざまに料理をルギアに食わせようとする。まるで異世界に出てくる魔王を太らせるゴーストのようだ。 「うっぷ、待ってくれ。さすがにこの料理も飽きてきたんだが。 別のにしてくれないか?」 一品が50kgもある料理だから、飽きるのも仕方ない。もっとも、今更説明するまでも無くわざと量を多くしているのだ。 ルギアは満腹状態にもかかわらず、惰性からほぼ無意識レベルでお代わりを繰り返していた。 まるで呼吸をするぐらい自然に「食べる」という行為を続けているのだ。 そんな事を続けていれば、当然ながら「太る」。 毎日、毎日・・・いや、数時間でも体重は変化するだろう。 ルギアのお腹は、もはや一つの芸術とも呼べるほどに、標準体型からかけ離れたパンッッッッッッッッパンッなお腹に変わり果てていた。 たとえ数百キロの鉛をそのお腹に落とそうとも余裕で弾き飛ばせるぐらいに。 ポケモンが100匹乗っても大丈夫な、腹の張りと余裕のサイズ。 それでいながら、パンク寸前の風船とは違って彼の風船腹にはまだ余力?の感じられる柔らかさがあった。 なにしろその腹に詰まっている大部分は食べ物と、余分な本来は不必要なお肉なのだから。 そこで作業するヤミラミ達に、テレパシーが届いた。ヨノワールからの指示だ。 ==もう十分だろう。そろそろ仕上げだ、、、ふぅふぅ、準備を頼むぞ。== ヤミラミ達は互いの顔を見て、コクンと頷いた。 そして半分ほどはポケモンたちへ料理を運ぶ役として残し、半分は作業を始めた。 「いやぁ〜、ホントやめられないなここの店は。うぇっぷ!」 はふぅーと息を吐いて、ルギアは温泉に浸かっているかのようなリラックスムードだ。 すでに大部分を補えないが、届く範囲だけ大きな翼で自分の膨れたお腹を優しく撫でる。 すると、そこへヤミラミ達が登って何かを取り付け始めた。 ひんやりと冷たい、、、金属製の薄いプレートだろうか。それはコードでどこかに繋がっているようだが、ルギアの今の体型では何も見えていない。 「うひゃ!?冷たくてビックリした・・・。な、なんだ?」 ビクリと体を震わせて、思わず体を起こそうとしたルギアだが太りすぎの彼はほとんど微動だにしなかった。 「お客様達が更にご満足いただけるよう、サービスを始めたいと思いまして。」 「至れり尽くせりで、なんだか悪いなぁーモグモグ。」 ヤミラミ達はしれっと客のポケモン達に嘘をつく。 これは電極のプレートだ。ライチュウが放つ、10万膨ルトを電導させる為の。 ズン。ズン・・・。 「んぁ、地震かな?」 店内がわずかに揺れ動いているのに、ルギアは気付いた。 だが揺れているが、物が落ちたり崩れたりする程じゃないので気にしない。 「なぁ、取り付け過ぎじゃないか?」 「こいつは特に反省していないから、一番こらしめろってヨノワール様が。」 「そうか・・(でも数が多すぎるような。まぁいっか。)」 ひそひそと話をするヤミラミ達。ルギアは気にせず料理を平らげ続ける。 結局ルギアは他のポケモンたちの数倍、電極を取り付けられてしまった。 「全て取り付け完了しましたー。」 「よし、では雷獣へ取り付けに行くぞ!絶縁体スーツを着るのをわすれるなよ?」 ===== 8 〜あらすじ〜 絶えず料理を注ぎ込まれて膨張の止まらないヨノワール、食欲魔神の巨大ライチュウは次々と街のポヶモンにエネルギーを無作為に与えていく。そして怪しげな電極をお腹に取り付けられた客のポケモンたちはどうなるのか。 ===== 「んーzzz、なんだか食いすぎて眠くなってきた。(もぐ、もぐ、ゴクン。)」 満足気にあくびをする肥満ルギア。もっとも寝ていても起きていても、体勢は何も変わらない。 寝る時間になると、枕もくれる徹底した「サービス」が彼をどこまでも巨大化させていた。 実は長いこと住処には帰っていない。ひたすら店で無料の料理を食べ続けるだけの毎日だったのだ。 ここだけの話だが、このルギア・・・この時点ですでに平均個体値が示すべき体重の“10倍以上”と化しており、馬鹿にされるどころか心配されるレベルの超巨大風船腹の持ち主へ進化していた。 ひたすら食べる生活サイクル。 しかし、そんな日々も終わりの時を迎えようとしている・・・。 ヤミラミ達が、雷獣へ装置を取り付け完了して、準備が整った。 「ヨノワール様!準備、すべて整いました〜。」 “フゥーフゥー、ご、ご苦労…げぷ。” 準備官僚の報告を聞くと、ヨノワールは食べ過ぎて肥えた者たちへテレパシーを送った。 自分たちのしでかした事の罪を、そして報いを受けるべきだと。 そしてヤミラミに指示を出し、残っていた廃棄処分する食料を全てヨノワールと雷獣へ無理やり食べさせ始めた。 お互いにリンクしている彼らは、相乗効果によってグングン膨張していきお腹は更にパンパンになっていく。 「ら、ライ〜・・・・・ラーイ!!」 巨大ライチュウは苦しくて、泣きそうな顔になってしまっている。 ヨノワールも、表情の変化はわかりにくいが額に汗を流して、かなり苦しんでいた。 「ぐっ、ふぅうっ、うがあああっ・・・。」 本当に風船のように膨らむヨノワールの体。腹の中はすでに圧縮できないほどみっしりと詰まっており、その重量は2号店にいる重度メタボ連中のルギア達を遥かに凌駕する。 そしてエネルギーを溜めきれなくなると、ライチュウは以前よりも密度の高い10万膨ルトを発生させ、それが電極を通じ店にいるバカ食いして太ってしまった客のポケモンへと流され始めたのだ。 「なんか腹いっぱいになって来たな、、、っていうか、苦しいような?」 ラティオスの青いお腹が。 「お兄ちゃん、私なんだか食べ過ぎちゃったみたい・・・けぷっ。」 ラティアスの赤いお腹が、空気を入れ始めたタイヤみたく徐々に張りが生まれる。 だが兄弟の変化は微々たる物である。 元々すさまじい体型になっていた、というのもあるが、ライチュウの10万膨ルトは分割されているから急激に膨れることはなかった。 しかしウェストはみるみる大きくなり、巨大化する体に視界が狭まっていく。 電極を取り付けられたほかの客も同様だ。まるで数日分の食料を食べてしまったぐらいのエネルギーが注ぎ込まれていく。 「げふっ、お、俺いつの間にこんなに食ったんだ?」 ピジョットがふかふかボディを翼で撫でる、、、がほとんどの部分を補えない。 バンギラスもコロコロと肥え太り身動きが取れない状態。“よろいポケモン”であるはずのバンギラスが、柔らかそうなぷにっぷに・パツパツな体へと変貌していた。 10万膨ルトは次々と客の体へ送られて、店内はギュウギュウ詰めになってしまった。 「狭いっ!というか苦しい、だ、だれかぁーーーー!!」 自らの膨らむお腹で仰向けにひっくり返ってしまったヘルガーはあたふたと足を動かすがどうにもならない。 「うひぃ、予想以上だ。」 ヤミラミ達も、彼らの膨張する体のせいで壁際においやられていた。 だが1号店のこの悲惨な状況も、大型専門客の「2号店」に比べればまだマシ。いや、むしろ快適空間だったであろう。 なにせ、2号店では−−− ※数分前 ルギアは、もう風船なんて名詞だけでは表現しきれない超・風船腹と化していた。パンッパンに膨らんだその丸くて巨大な物が彼の体である。 「ふー。いやぁそれにしてもマジでここの料理って飽きないな。さすがに、ちと苦しいけど…。 ん?なんだかビリッと来たぞ。ちょっと気持ち良かった、、というか料理食った時の満腹感に似てる。」 ルギアはのんきなものである。彼は今自分自身の身に何が起き始めているか全くわからないのだから。 自分に何個の電極がつけられているか、彼の視界からは一つも見えないのだ。 【むくっ】 わずかな変化だが、ルギアのお腹が…成長した。 「ら、ライィッ!」 ライチュウは苦しそうに鳴きながら、ヤミラミ部隊にドンドン飲まされる食料に抵抗できずにいた。 再び、ルギアのお腹に変化が訪れ始める。 「うっぷ。ん?」 さすがの彼も、自分の大きくなる体に気がついた。いくらなんでも短期間でお腹が太りすぎじゃないか。 だが気づいた時にはもう遅い。高エネルギーの塊は彼の体に送り続けられる。他の客の何倍も、そう何倍もだ。 「おわ、あ、、、ぅ?!」 ぷくぅーと、白と薄い群青色をしたボディがみるみる膨張する。 く、苦しい。何かわからないが、蓄えたものを吐き出したい。 だが一方的にエネルギーは送られており、全く抵抗が出来ない。 「何が起きたし?!ぐわっ・・・!!」 体がある程度大きくなったことで膨らみやすくなったのか、ボンッと一際激しくルギアの体は変化した。 しかし驚いているのはルギアだけではない。担当していたヤミラミ達もピンチに陥っていた。 「ちょ、どうなってるんだこれくぁwせdrf(ry」 パツンパツンに膨らみ続けるお腹においやられ、また他の膨らんだ激デブポケモンたちの間に挟まれ、ヤミラミは巨大な風船ボールがひしめく店内で壁に天井に押しつぶされていった。 特にルギアの周辺にいたヤミラミ達の犠牲っぷりはひどかった。 後に、担当者であったヤミラミは語る。 ぷに肌は確かに心地よいが、正直苦しさの方が強かった、と。 どんどん巨大化するルギア。店の機材やカウンターは破壊しつくされ、電飾やら何やらが音を立てながら破壊される。 そして身動きの取れなくなるヤミラミ達。 「ぐぅう、はぁはぁ、はっ、やばっ、お腹が、、パンクしてしまいそうだっ・・・!」 ルギアは目を瞑って冷や汗を流し、ちょっとだけ苦しさで涙目になりつつ、それでいてどうする事も出来なかった。 そして、お腹の頂点はとうとう天井にまで達していた。超肥満サイズを考慮して建てられた2号店にもかかわらず。 ミシミシィッと音を立てながら崩壊の音色が店内に響く。 あまりにも、取り付けた電極が多すぎたのだ。 【ボンンッッッ!!!!!!!!!!】 屋根が吹き飛んだ。台風が来たわけでもない。欠陥工事だったわけでもない。 内側からの・・・ルギアのお腹によって。 「くっ、くっ、苦しいぃ!!」 「ライ、ラーイ!」 巨大な風船体のルギアとライチュウ、2匹とも辛そうだ。 そんな彼らを、遠くから見ている者達がいた。 「最近起きていた不可解な事件は。 そしてこの反応、やはりヨノワールの仕業だったか・・・」 ジュプトルは仲間たちと連絡をした後、ヨノワールがいる飲食店へ向かった。