ある所に、とっても愛らしいんだけど、とってもいたずらが大好きな困り者のピカチュウが住んでいました。 ピカチュウのいたずらに毎日みんなは頭を悩ませるのですが、最終的にピカチュウの販促なまでの可愛さに免じて許されてしまうのです。 そんなもんだから、ピカチュウのイタズラはどんどんエスカレートしていき・・・。 △月×日 てんき:はれ 「なぁ、そろそろ腹いっぱいなんだが。今日はこの辺でもう終わりにしないか?;」 ピカチュウのワガママに付き合わされるリザードン。心なしか、お腹がふっくら、パツパツに見える。 究極のお菓子を作りたい! とピカチュウはなんか怪しげな組み合わせで調合しまくった食べ物(?)を試食させていた。 とっくにリザードンのお腹は限界。なぜって、もう自分の体重より多い量をお腹に入れてしまったのだから仕方ない。 「ピカァ、、、もうちょっとだけお願い。ね?」 キラキラと輝く瞳で見つめられると、断り辛い。 それに、世界的スーパースターである“ピカチュウ”を怒らせたり泣かせると後が怖いのだ。背景(バック)の持つ勢力(ちから)的な意味で。 「う。わ、わかった。本当にあとちょっとだけだからな?」 そんでもって30分後 「もぐ、、、もぐ、ゴクン。うっぷ。いや、美味いけど、もう腹一杯でいまいち感動しねぇよぉ・・・。」 苦しいのか、お腹を何度もさすっている。甘いものばかり食べて口の中がだるいので、飲み物も余分に飲んでいる。そのせいか、余計にきついのだ。 開始時に比べると、1mかそれ以上ウェストが増大しているからかなりの量食べた事がわかる。 「ヂュウ・・・、なかなか旨く行かないなぁ。」 なんだか怪しげなツボにありったけの材料を注いでいくピカチュウ。なんか紫色の液体が見えるんだけど・・・。たらり、とリザードンの首筋に冷や汗が流れる。 見たこともない材料を組み合わせながら、ツボの中身をぐるぐると、ネルネルするピカチュウ。もちろん味見などはしない。 そして遂に・・・ 「完成ピカー!!」 なんだか、真っ白いきびだんごみたいな物が大量に完成した。思ったより見た目は普通でリザードンはホッと一安心。 「どれ、それじゃちょっと怖いけどひとつ食べてみようか。(パク。ゴックン。)」 正直期待していなかったが、その予測は完全に裏切られる事になった。 口に入れた途端、雲のように溶けてじんわりと広がる旨み、そして程よい甘さ。そして、その至高の味と満足感が五臓六腑に染み渡る。まるで天上の食べ物のようだ。 「う、うまっ、え、ヤバ、旨すぎるぞこれ・・・!?(ムクリ)」 「ピカ?」 ピカチュウは心なしか、リザードンのお腹が大きくなったように見えた。 「な、なぁなぁもう一つ食べていいか?」 リザードンはちょっぴり涎を垂らして、まるで喜んだガーディみたいに尻尾をふりふり、目は星のように煌かせてお代わりを所望した。 このリザードンの反応を見る限り、どうやら究極のお菓子は作れたかもしれないが。気になる点があったので、とりあえずもう1個ピカチュウは手渡した。 「あ〜〜ん!(ぱくっ、ゴクン!)」 むくぅっ。と今度は凝視していたおかげで見逃さなかった。この団子?のような物を食べてすぐ、リザードンの体が目に見えて膨らんだのである。 「ピカァ!!」 どんな副作用かわからないが、これは面白い! ピカチュウは耳をピコーンと立てながら満面の笑みを浮かべた。 リザードンはまだ気づいていない様子。もっと食べる?とピカチュウはどんどん差し出す。一粒でみるみると肥えていく危険な代物をーーー 「うわ、病み付きになったかもこれ(ヒョイ、パク。)」 ボンッとウェストが更に太くなる。ここまで来ると重度肥満者のお腹周りである。 「もう一個食おう♪ゴクン」 しかもただ膨れるのではなく、明らかに体が大きくなっている。悪く言えば、デブくなっている。特に腹が大変な成長率を見せており、妊婦も顔向けのビックbellyだ。 「あ、れ?」 10個ほど食べてから、その異変にようやく気がついたリザードン。足元が、突き出たお腹のせいで完全に見えなくなっている。 「な、なんだこりゃ!?」 「ピッカァ〜、このお菓子は凄いチュウ♪もっと食べて食べて〜〜」 リザードンの体によじ登ると、ピカチュウは危険な肥育菓子をヒョイヒョイとリザードンの口の中へ押し込んでいく。 「ちょ、待った、もういいって。(ゴクン)う、うまい・・・ハァハァ、うっ、腹が・・・!」 ボボンッと勢い良く成長するリザードンのオ・ナ・カ。満月を業務用の空気入れで膨らませたかの如き勢いで、急激に膨らんでいく。 ピカチュウはそれが面白くって嫌がるリザードンにもどんどん肥育菓子を食べさせた。 「うぉ、もう、やめてくれって!」 むくぅーーーー、ボン! と本当に作り物の風船みたいにありえない速度でリザードンはピザードンへと進化してしまった。 お腹のサイズがとてつもなく、下腹部が地面に接するだけじゃ飽き足らず、余りにも太りすぎて腹に押され、仰向けに転倒してしまった。 「わーい、特大のトランポリンみたいピカ〜♪」 ピカチュウは柔らかく・なおかつ弾力のあるリザっ腹の上でぽよんぱよんと跳ね飛んで遊び始めた。 「ふぅ、うっ、やめっ、苦しい・・!」 急激な体重増加に苦しみ、ヒィヒィと息を整えながらリザードンが涙目になって訴える。 ピカチュウはそれでもやめようとせず、むしろもっと膨らませてみたい、という興味本位の気持ちからリザードンに更にお菓子を与えた。 ボォンッ!! 一気に5個ほど食べさせたせいか、リザードンのお腹はビッグバンでも起こったみたいな勢いで急激な膨張を見せて、山のような腹へと巨大にパワーアップ。 あまりにも短期間で激太りしたリザードンは重さに耐えかねて、うんうんと唸ってかなり辛そうだった。 「うぅ、うぅ〜ん。もう、駄目、ぐふっ・・・。」 パンパンな風船みたいになったリザードンはギブアップして、とうとう意識を失ってしまった。 次に目が覚めたときには、自分の“これでもかっ”というぐらい膨らんでしまったお腹を見てショックを受けることだろう。 おそらく、少なく見積もってもお腹周りは10mを超えているのだから。 「もう寝ちゃったピカ?」 いじる相手がリタイアしてしまい、ちょっと残念そうなピカチュウ。 しかし、これは面白い物を手に入れた、と嬉しそうに他のポケモン(犠牲者)を探しに出て行った。 その後、知り合いのライチュウに食べさせてリザードン同様に膨らませたりしたが、どうやら与えても効果のある数に限りがあるらしい。 どうやら耐性がついていくようだ。つまり、元から巨大に太った対象に食べさせれば、凄いサイズになるのでは・・? 残りの肥育菓子も少なくなってきたので、ピカチュウはターゲットを絞ることにした。 「はぁ、はぁ、苦しそうだな、そろそろ降参したらどうだ?」 「ふぅーー、ぶふぅー、そ、そっちこそ。」 丸い巨大な青い風船と赤い風船が言い争っている。 良く見たら、丸々と肥え太って膨らんだグラードンとカイオーガであった。 なにやら再び大食いバトルをしているらしく、山積みになった木の実をガツガツムシャムシャバクバクと怒涛の勢いで食べまくっている。 ピカチュウは黒い笑みを浮かべた。こいつらなら、想像以上のサイズになってくれそうだ、と。 「こんにピカ。」 「ふぅ、はふぅ、、、ん。なんだお前は?(ガツガツ) 見てのとおり、うっぷ、いまライバル対決で忙しいんだ、後にしてくれないか。」 パンパンのお腹になったグラードンはちらりとピカチュウの方を見てから、すぐさま大口を開けてバクバクとひたすら食べるだけの作業に戻った。 だがピカチュウはチッチッと指を振ると、こんな事を言った。 「見たところ大食いバトルしてるみたいだけど、そんなんじゃ勝負は付かないと思うピカ」 「なに?」 「む、ならどうすれば良いというのだ。」 「(食いついてきたピカ) 簡単簡単♪ このお菓子を沢山食べれた方が、勝者でいいんじゃないかな。」 「はぁ?そんな小さいラムネ菓子程度、どれだけ食う必要があるんだよ。」 「まぁまぁ騙されたと思って」とピカチュウは有無を言わさず彼らの体を、足や腹を踏み台にひょいひょいと登ると1個ずつ口へ放り投げた。 すると、なんということでしょう。 あれ程太っていたグラードンとカイオーガがみるみる太っていくではありませんか。ん、変化が無いって? 言葉では同じ表現ですが、実際の見た目はぜんぜん違うのです。ウェストで言えば、ざっと2、3mぐらいの変化が起きる程度には彼らのお腹周りは成長してしまいました。 「ぬぐぉお?!うっ、うっ、うげぇえーっぷ!は、腹がっ?!」 「ふぅー、ぎゅ、ぐっ、げほっ。苦しぃ、、、!だが、私は、まだ食べれるな。」 「ぜぇ、ぜはぁ、お、俺だってまだ序の口、ぐぶっ。」 完全に身動きが取れないほど肥大化したグラードンとカイオーガ。もう見事にパンッパンな姿で真の球体へ近づいていってる。 結局限界まで食べてしまったグラードンたちは、伝説級のメタボポケモン・ルギアに匹敵するサイズに変貌してしまった・・・。 太るだけでは収まらず、体も巨大化した彼らの体重やウェストは推して知るべし。 「・・・ちょっと、やりすぎちゃったピカ。」 舌をぺろりと出して、いたずらっぽく笑うピカチュウ。でも、反省はしていない。 きっとこれからも沢山の迷惑行為を繰り返すことだろう。 でも大丈夫、許される。可愛いは正義なのだから おしまい