過保護兄の溺愛物語 1 私はラティオス。突然ですまないが私には妹がいる。 目に入れても痛くない愛らしさ。 素直で、思慮深く、健気で、綺麗な、おそらくポヶモンと呼ばれる我々の中でも、誰より輝いている・・・そんな妹だ。(※兄馬鹿フィルターを含む) 真っ赤で、珠[タマ:真珠・宝石類も指す]の様に美しい体。 しかし、それこそ彼の妹は球[タマ:丸い。]の様に太ましい体の持ち主でもあった。 甘やかして甘やかして、甘やかし尽くして(?)、それゆえに、妹はどーやったらそこまで肥えるのか不思議なほどに体が膨れ上がっていたのだ。 その姿は空気を入れた風船のようで、今ではパンパンなお腹を抱えて仰向けに寝たきりのまま、兄が持ってくるお菓子や食料を好きに食べる生活を続けている。 「ねぇお兄ちゃん、お腹空いたよ。」 クゥクゥ、キュルルとお腹の合唱団が演奏を始めるや否や、アニキは俊足の神速で食料調達をする。 「食料調達速度を競う世界大会」がもしあるならば、確実に1位になれそうだ。 君んとこの妹、ちょっと太り過ぎじゃないか? とカビゴンに心配されるほど巨大化した妹だが、ラティオスは特に気にもせずとことん甘やかし続けた。 そんなパツパツ、つやテカ、もち肌なラティアスだが、ある日、突然ダイエットをしたいと言い始めた。 空を優雅に飛ぶポヶモン達を見て、自分も久々に飛びたいと思ったのだ。 ろくな運動すら不可能な球体だったので、とりあえず食生活から見直そうとするが・・・ 「おやつはもういいのか?昼食も少なかっただろ?木の実もいつもより20個も少なくて、お腹減ってないか?」 兄は心配そうに妹の周りを飛び回っては様子を聞く。 「もー、大丈夫だってお兄ちゃん!私、頑張るからっ!」 「うぅぅ、我が妹ながらなんて殊勝な心がけ・・・兄ちゃん嬉しいぞ。」 感激して涙する兄貴。 しかし、溺愛されて甘っちょろい性格になった妹の決意は、3日と持たなかった。 「うぅー、お腹空いたよぅ〜。」 キラキラト潤んだ瞳で兄を見つめる妹の目。 「だ、駄目だって。1時間前に食べたばっかりだろ?」 「お願い、今食べたら明日は減らしてもっと頑張るから!」 典型的な“明日から本気出す”精神の妹。 「し、しょうがないな。全く///」 そして、すぐさま折れる兄にも原因はある。 とはいえ、中途半端に食事制限をしたラティアスは逆にストレスの反動からか、どんどん食欲が増えてぷくぅ〜っと体が膨らんでいくみたいに以前にも益して太ってしまった。 「妹の願いは叶えたい・・・だが、あんなに苦しい思いをさせ続けるなんて私には出来ない!」 −−−とって変われるものなら、私がその苦労を背負ってやれたら良いのに!!! 自分の、その考えに兄はハッとする。 そうだとも、私が変わりにダイエットすればいいじゃないか。 そして彼は異能の能力者、マナフィの元へと向かった。 理由は言わずもがな、“自分と妹の中身を入れ替える”為である。 マナフィのハートスワップという能力[ちから]は、人やポケモンの心を一時的に入れ替えるすごいものだ。 わかりやすく言えば、[俺がおまえで、お前が俺で]をマジで実現可能に出来る奇跡のような技である。 「で、君と、、、、えーとそこの風船とを入れ替えればいいのかい?」 半ば強制的に連れてこられたマナフィはダルそうに言った。 「私の妹だ。冗談は顔だけにしろよ?」 怖い顔された。噛み殺されそうな顔で言われてマナフィはちょっとだけ泣きそうになった。 「・・・えーと、うん。つまり君と妹さんの中身をちょっとの間入れ替えたい、と。 了解、それじゃやるよ。3,2,1・・・・」 スゥッ、と全身に虚脱感が生じた。まるでゴーストポケモンになったみたいだ。 と思ったのは刹那の時間、次の瞬間には全く別の世界が見えていた。 続いて、ズドンッ! と錘{おもり}を乗せられた感覚。 次いで微妙に息苦しさ、更には今まで感じた事の無い空腹感と食欲が心を支配し始めた。 「ふぅ、ふぅ、ど、どうなった・・・?」 キョロキョロと辺りを見渡す。何故か、体の自由がほとんど利かない。 まさか金縛り? だが、麻痺した感覚は無い。単純に、重力の強い場所で身動きが取れないみたいな・・・ と、赤いリンゴ?らしき物が視界に入り、ちょっと触って見る。 お腹が撫でられた感触。 「わーい、体が軽ーい!」 ぴゅんぴゅんと飛び回る“ラティオス”の姿も見えた。 そ、そうか成功したんだ。 ラティアスになったラティオスは、ようやく気がついた。 「ハァハァ、妹の体に、入れたのか・・・」 鼓動が早くなっていく。息も荒い。もしかして興奮しているのか? と、思いきや、それは太りすぎによる弊害であった。 「それじゃ、僕は用事があるからこの辺で。元に戻したい時は呼んでね。それじゃまた。」 マナフィは、それだけ言うと、さっさと帰ってしまった。 その日から、さっそく“ラティアス(兄)”のダイエットが開始された。 === 過保護兄の溺愛物語 2 まず、ダイエットの第一の指針としては、やっぱり食事制限が一番だ! 太りすぎて風船のように丸々としたラティアスの体になっているラティオスは、とりあえずご飯の量を減らしてみる事にした。 これがなかなか難しい。 ぐぅ〜ぐぅー、と大きなお腹が自己主張をし始めた。まだ昼に木の実を食べまくってから、2時間もたっていないのに。 「うぅぅ、我慢がまん。///」 だが5分立ち10分が立つと、更にお腹の音は大きく鳴り響く。この体は凄い食欲があり、一度食べ始めると暫く止まらないようだ。 さっきだって、自分は腹八分でやめようと思ったが、体が言うことを聞かずに手当たり次第にバクバクと食べてしまった。 ぐぐぅ〜きゅるるるる。 再び催促の音。 我慢しなければ・・・でも、これは妹の体へストレスになってしまうのではないだろうか? 少し腹に何か入れておこう。 3時のおやつだと自分に言い聞かせて、兄は食欲の赴くままに木の実を食べて、そしてまた食べ過ぎてしまった。 翌日、ポケモンたち手作りの秤で体重を再び量ってみる。 なんとかエスパーの能力で浮かび、ズシンと巨腹を乗せてみる。 リンゴや木の実を反対側に載せ、釣り合う重さを個数で調べるのだが・・・ 驚くべき事に、約20kg以上の増加。 「な、う、嘘だろう?」 自分では、ちょうど腹が満たされるぐらい・・・本当の事を言うと、ちょっと足りないぐらいだった。 それなのに、体重は増えている。 「今日は少なくしないと・・・!」 腹がぐぅぐぅ鳴っても、なんとか耐える。我慢する。 「お兄ちゃん、大丈夫?」 「心配してくれるのか、大丈夫だ。お兄ちゃん頑張るからな!」 妹の声を聞き、俄然やる気を出す兄。 「無理はしないでね。お兄ちゃんが倒れちゃったら大変だよ。」 その夜・・・ ぐごぉおおぅ、ぎゅるるる…くぅ〜。 何度も何度もお腹が鳴る。赤い風船腹を擦ったり、脳内ポケモソしりとりをして誤魔化すが、やはり駄目。 寝て時間を過ごすのだが、基本的にろくに動かず横に=というか仰向けに=なり続けているせいで眠くならない。 すると、自分のお腹の上にドサドサドサっ! と沢山の何かが降り注いだ。 「これは?」 ググっと太い首を曲げてなんとか確認をする。…小さくて、赤い木の実だ。 良い匂いがする。く、食いたい。けど、ダイエットしてるんだ。今日はちゃんと我慢しないと。 「お兄ちゃん、無理しすぎちゃ駄目だよっ。」 ラティオスの姿をした妹が、真ん丸な木の実を持ってヒョコっと顔を出す。 自分のニコやかな顔はちょっと違和感を覚えたが、中身は妹なので十分に萌える・・・じゃなくって 「こ、これお前が持ってきてくれたのか?」 「うん、お兄ちゃん頑張ってるけど息抜きも大切だもんね。」 感激だ。実は、妹からプレゼントを貰うのは、数年ぶり…いや下手したらそれ以上かもしれない。 (※最もそれは、身動きが取れないほど太ってしまったラティアスが自分で物を取ったり出来ないからだ。) そんな最愛の妹が取ってきた食料を…どうして食べないでいられようか! 私はそれこそ無我夢中で、半ば感涙しながらそれを貪り食った。 「お兄ちゃん、やっぱりお腹が好いてたんだね♪ お代わり沢山あるから、どんどん食べていいよ」 天然なラティアスは、果たしてわざわざ体を入れ替えた理由をわかっているのだろうか? 折角朝から晩まで我慢して食べていなかった兄は、もうそのお腹がパンク寸前になるまでひたすらに一生懸命食べてしまった。 もう風船というより、そのサイズは気球並といっても言い過ぎではない。 まるでわんこ蕎麦に挑戦してるみたいに、妹が持ってきた木の実を食べては、追加で持ってきたものを食べ、 次の日から、妹が持ってくる食べ物を延々と好きなだけ食い、 それから時は過ぎて、1週間後。 「ふぅー、ふぅー、流石にちょっと太ったか?? だ、だけどちゃんと運動も少しだけしたし、それほど変わっていないかも。」 淡い期待を持ってみるが、不安で胸はいっぱい、先ほど食べすぎて腹もいっぱい。 おそるおそる、秤に体を乗せてみる。むしろ無理やりに押し込む。 ギシィ、ミシっ、ミシィ! バキン。 音を立てて、ポヶモン達が共同して作った秤の体重計は無残にも破壊された。 無理やり秤に押し込んだ腹が勢い余ってボンっと膨らむ。 1t近いグラードンでも余裕で量れるはずが、まさかの体重測定不能。 サァーッと血の気が引いていくのがわかった。 「や、やばい、どうしよう。」 自分がなんとかして頑張り痩せるはずが、太ってしまっては意味がない。逆効果だ。 「お兄ちゃん、大変そうだけど大丈夫?; やっぱり元に戻った方がいいかな。」 いかん。このままでは妹に失望されておにいちゃん株が急下落へと陥ってしまう! 「だ、だいじょーぶ!今週は本気を出すから!」 しかし、今週も大差なかった。翌週も、その翌々週も。 そんなこんなで1ヵ月後。 「げぷふぅ〜、フゥフゥ、食べすぎた、、は、腹がパンクしそうだっ。うぅっ!ど、どうしてこうなった・・・。」 むしろこちらが聞きたい。と周囲のポヶモンたちは思うだろう。 最愛の妹が、誕生日プレゼントを用意してくれたのだが、調子に乗って全部食べてしまったのだ。 食べ終わってから聞いたが、実は1週間分だったらしい。よく体におさまりきったなぁと我ながら思う。 ズドーンと天高く突き出て膨れ上がったお腹はまるで太った満月。 尻尾も太くなりすぎて短く飾り程度でしかない。 手も丸くぶっとくなり、ぷにっぷにしており、折り曲げて収納する事が不可能になった。 ラティアスの体(兄)は空に浮かぶ事はおろか、まともに転がれないほど巨大化して肥大化してしまった。 === 過保護兄の溺愛物語 3 完 ==== 私はラティオス。わけあって、今は妹のラティアスの体と心を入れ替えている。 私は妹の為に、ダイエットする苦労を代わりに引き受けようとした。 だが、妹の[食欲]は想像以上であった。 自分の意思で我慢など、到底できる筈が無い。 一度、縄で全身をグルグル巻きにしてもらい、一日耐え抜こうと試してみた。 だが、半日もせぬうちに、空腹が頂点を限界突破すると、そこで私の意識が途絶えた。 話を聞くと、自分の腹に力を込めて膨らませ縄を引き千切ると、自慢のエスパー能力で山ほど木の実を集めては腹がはち切れんばかりに食べ過ぎてしまっったらしい。 翌日、一回り大きくなった自分の体(妹のだが)を見て驚愕した。 やはり、無理な食事制限には私たちの種族は合わないようだ。少なくとも、私には無理だった。 なんとかして別の方法で痩せなければ。 私は寝たきりのまま、テレパシーを駆使して情報を集めた。 ルギア「あー、ダイエットの方法ねぇ」 もっしゃもっしゃと、何か甘い匂いのする人工物(おそらく人間達の作ったお菓子だろう)を座ったまま食べる海の神様。 高度な念話になると、テレビ電話のようにお互いの映像も受信可能なのだ。 ラティ兄「ええ、何か良い方法を知ってるんじゃないかと思いまして。」 ルギア「(モグモグ)そうだなぁ、チャーレムさんがツボ押しダイエットやってるって聞いたことがあったような。ダイエットのインストラクターとしても活躍しているそうだ。 いいか、決して私が世話になったとかそういう話ではないのであってだな。私は関係ないんだ、知り合いの知り合いから聞いた話でだぞ。」 彼にとっては大事なことらしく、2度も同じ事を言った。 ラティ兄「本当ですか。ありがとうございますっ、試しに話を伺ってみますね!」 ルギア「あぁ、うん。それで頼ってくれるのは嬉しいが、なんで私に連絡をすぐ−−−?」 ラティ兄「い、いえ、それじゃ失礼しますっ!」 慌ててテレパシーを一方的に止める。まさか誰よりもダイエットの件に詳しそうだからとは言えない。 カビゴン達、大食い代表ポケモンより先に聞いたと知られたら…。 とりあえず、その事は忘れて翌日さっそくチャーレムを呼んでみた。 ////////// やって来たのは見事な「くびれ」を持ったヨガが得意そうな見た目のポヶモン。 正直、くびれとは無念のドラゴンタイプから見ると、痩せ過ぎで逆に心配してしまうぐらいだ。 チャーレム「はいはーい、美を追求する者の味方チャーレムでございま〜す。 ご依頼人はこちらにいらっしゃいますかー…って、どう見ても貴方様でございますね。」 ラティオス(IN妹)「え、私じゃないですよ?」 ポリポリと木の実を固めたお菓子みたいな物を食べるラティオスだが、彼女(?)もまた随分太ってきていた。 カビゴンでも食べきれない量を食べたりもする彼女の[基本食]では、いくら量を減らしたといっても確実にラティオスの体が太る程度の量なのである。 太って要領が増えれば増えるほど、彼女は本来の食欲に任せて多く食べていった。 チャーレムは、はて?と首を傾げた後、後ろに控える巨大な“山”を発見して、流石に驚いた。 「おや・・・」 視界に入った赤白ツートンカラーな風船を見て、ほほぅと感心したように声を出した。 チャーレム「これは遣り甲斐がありそうです。」 ポキ、ポキと骨を鳴らすチャーレム。 ジロジロと全身細かく視線を送ってくるので、兄はなんだか恥ずかしくなってきた。 ラティアス(兄)「よ、よろしく頼む。///」 チャーレム「それでは、まず指圧マッサージをして、代謝をよく致しましょう。ちょっと失礼しますよ。」 よっ、と器用にラティアス(兄)の体に飛び乗ると、なにやら気合を溜め始めた。 兄はドキドキしながら待っている。 正直、小さいチャーレム(※標準です)に、腹の中心に乗られるとほとんど何も見えない。 膨れ上がった腹が視界の邪魔をするからだ。 「では、、、お覚悟っ!!」 ずどっ、ドスゥっ、ムギュゥウウ! 鋭いチャーレムの突きが、柔らかい腹部に何度もめり込んでは跳ね返していく。 「ハァッ!トリャアアア!セェエエーイ!」 やたら叫んでは、強烈なパンチ?を繰り返す。はたから見たら絶対にマッサージには見えない。 だが、ラティ兄はちょっと困っていた。 どうしよう。何か一生懸命やってくれてるみたいだけども・・・ 効果があるのか、ぜんぜんわからんっ!! そう、以前にも増して分厚い脂肪がパンパンに詰まったラティアスの体では、並大抵の刺激では蚊に刺された程度でしかなかった。 その間、妹が何か面白いことをやってると興味を抱き、真似して私の腹にダイブして遊んだりもした。 私にとってはそちらの方が刺激的というか鼻血ものというか、抱きしめ返したいっ! とかなんとか思っていた。 「ぜぇー、はぁー、、、いかがですか?」 数分後、全力で攻撃し続けた彼女はすっかり疲労困憊していた。 ぜんぜん効果が無い気がする、と正直に答えるべきだろうか。 「えと、そうですね。・・・(ぐきゅるるる!)」 答えに迷っていると、代わりにお腹が返事をした。 まずい、さっきたらふく食べたはずなのにもうお腹が空いてる。 お腹に刺激を受けたせいだろうか? 「お腹が空いたのは、きっと代謝が活発になった証拠です。 お次はラップエステです。そのボインとしたお腹周りもきゅっと引き締まりますよ〜。」 どこから取り出したのか、いくつものラップを用意すると、尻尾から順番に巻き始めた。 体を念動力で浮かせている間に体にも巻いていくが、これが非常に疲れる。 「ハァハァ、あの、まだ、ハァハァ、ですか、ね。」 「もう暫くお待ちください。はい、もっとお腹を引き締めて!」 ぎゅうぅうっと特性の頑丈なラップが引っ張られる。 「ゼィゼィ、これ、がっ、限界ですっ・・・ハァッ、ハァッ・・・んぅう!」 なにせ、この巨体である。幅の一般的な物を巻きつけるだけで30分以上もの時間がかかってしまった。 オッケーの言葉を貰うと同時に体を下ろし、ドスゥウウウウン!!!! と隕石が落下したみたいな衝撃が地面を走った。 「さぁ、後はこのまま1時間ほど熱して…」 「ハァー、ハァー、い、1時間ですか!!?」 こんな息苦しさで、1時間も体が持つだろうか? 精神が先にまいってしまう。うう、考えただけで気力がもう無くなりそう。 振り絞って引っ込ませていたお腹が徐々に緩みはじめる。 しかも、疲労と酸素不足から、荒い呼吸をしてしまい一気に空気を取り込んでしまった。 「ハァハァ…ふぅ、スゥ、ハァー、スゥーーー・・・」 ぶくぅーっと、餅か風船が膨らむように、ラティアスの丸い体も一気にそのサイズを膨張させた。 ミチッ、ビリ、ビリィイ!!! 見る者が見れば予想通りだが、ラップは無残にも破られてしまった。 「そんな、まさかっ特殊構造の強化ラップが?!」 想像を絶する巨体。圧倒的なウェスト。現在のラティアスの体には常識が通用しないらしい。 「お兄ちゃん凄い凄い!」 妹は、何かの遊びだと思ってるみたいだ。確かに、ふざけている。 「(こんな、膨れた腹で破けるなんて漫画かアニメみたいな事…)」 しかし前回ハカリもすでに壊してる前科持ちの体なので、今更ではあるが。 その後、[食欲を抑えるツボ]をひたすら連続で攻撃する事になった。 だがそれも案の定失敗に終わる。 「ここかしら・・?それとも、こっち!?」 太りすぎてて、ツボが全く見当たらない。 なんとなく勘でやってみたが、どこも不発。 挙句の果てには「食欲増進のツボ」にクリーンヒットしてしまい、もう何か口に入れないとどうしようもない状態になってしまった。またか。 私にはお手上げね…その言葉を残してチャーレムは去っていった。 −−−1週間後−−− 「お兄ちゃん、どんどんおっきくなるねー」 「ふぅふぅ、すまん妹よ…必ず、痩せてスマートな姿になるからなっ!!」 兄のダイエット奮闘はまだまだ続くらしい。 次はベロベルト先生の勧めるりんごダイエットだ! でも、ラティアスが痩せるのは当分先になるだろう。 食欲旺盛な妹のせいで順調に肥え行くラティオスの体も心配だが、どうやらこの兄妹は痩せる運命とは無縁そうだ。 おわり