@///どらみち/// イールド国は、周囲の国々と交易が少なく財や資源が苦しかった。 その一番の理由は“開拓された道”が無かったこと。 国の周囲は馬車がろくに通る事が出来ない悪路のみ。 かといって、途方もない距離を地道に整備している時間も労働力も割いている暇はない。 そこで国王は、信頼のできる相手にこの問題を解決する為にとある依頼していた。 -------------------------- カイルフ・依頼を受けた狼獣人 ロド  ・竜牧場から来た巨大なドラゴン。人語は殆ど話せないがある程度言葉は通じる。 オーライ・百獣の王者、の獣人でイールドの王。 グス  ・トカゲの獣人。補佐役の大臣 -------------------------- ////// カイルフ「お久しぶりです、オーライ様。」 謁見の間にて膝を付いている狼の男の顔を上げさせ、国王は現状を言う。 オーライ「・・・・話したとおり。このままでは、我が国は廃れていくだけであろう。 今回は、まずイノラ国との道を開拓して欲しいのだ。 あそこは食料を多く確保してある。この近くは鉱石は取れるが食料が育ちにくいからな。」 カイルフ「了解いたしました。 それでは下準備の方は、そちらが用意したものを利用させていただきます。」 オーライ「うむ、わかっておる。存分に消費してくれてかまわない。 して、ドラゴンは今どこに?」 カイルフ「はい、今は城下街の外に待機させています。 流石に城の中に入れるわけには参りませんので、、、、、、、、」 オーライ「ははは、それもそうだw」 挨拶を済ませると、カイルフは礼をしてその場から退出した。 黙って聞いていた若干太り気味の大臣、グスが不満そうな顔で王に問いかける。 グス「あれがドラゴンズロードの、、、、、、本当に信用の出来る相手なのですか?」 オーライ「心配するな。一度彼らの仕事を見ているが良い手際で作業をする。 他の国でも依頼をする場所は多い。」 グス「なら、いいのですがね」 トカゲはまだ納得がいかないが、王の言葉を信じて黙る事にした。 ------------------------------------------- 城を出て、食糧庫へ向かった狼のカイルフは兵士達に説明をしたあと、街の外へ出た。 カイルフ「ただいま、ロド」 声をかけた方向には、見上げるほど大きな身体をした同族では割とポピュラーな体色の赤いドラゴンがいた。 首から腹部、そして尾の内側にかけては淡い白。蛇腹タイプではなく、もち肌のように滑らかだ。 今は翼を閉じているというのに、それでもかなり巨大である。 首と尾は竜らしく細長いが、胴体は丸太のようになり他の種族と比べると、そのウェストは若干太りすぎに見えなくもない。 ロド「おかえり カイルフ。」 その竜は、低い声だが。言葉が慣れない種族なのか少しぎこちなく返事をした。 カイルフ「お腹空いただろ。」 ロド「 (こくん)」 言葉にはせずロドンはゆっくりと頷き、肯定した。 城に行く前にたっぷりと食糧は与えたのだが、何せこの巨体だ。 普通の種族が満足できる量では気休め程度にすらならない 15分ほど待っただろうか、ロドの腹の虫がぐぅぐぅと五月蝿くなってきた頃、大きな荷台を引き連れた馬車がやって来た。 それには 山ほど、という表現がぴったりなくらいな量の食糧を積んである。 竜は、無造作に積んである食糧を見ると、すぐさま大口を開けてかぶり付いた。 ロド「バク! ゴクン 。」 あっという間に果物や肉・魚介類の詰め込まれた山が崩れていく。 よほどお腹が空いていたのかほとんど噛まずに丸呑みにするため、喉も時折膨れている。 その様子はさながら風船(からだ)に空気を入れるポンプみたいだ。 ある意味、その比喩も間違っていないようだ。 事実、若干であるが満腹になったロドのお腹は心なしか大きくなった気がする。 大量にあったはずの食料あっという間にドラゴンの胃袋へ収められた。 新たな馬車が運んできた追加分も、休むことなくペロリと平らげる。 食料を運んできた従者は驚き、そしてドラゴンの逞しさに感心していた。 カイルフ「どんどん持ってきてくれ。」 まだまだ食べる勢いの衰えないロドを見て、カイルフは更なる追加を頼む。 それからもロドは運ばれてくる食料を、食べて、食べて、食べまくった。 カイルフ「たくさん食って、大きくなれよ」 ぽんぽんと大きなお腹を叩いてやる。 翌日も、その翌日も 食糧庫から大量に運ばれた食べ物は全てロドへと捧げられ、 竜もそれを余すことなく食い尽くす。 数日もたたないうちに、ロドはむくむくと太っていった。 -------------------------------------------------------- -------------------------------------------------------------------------------- --------------------------------------------------------------------------------