−−− 10年以上も前、真っ直ぐな瞳をキラキラさせながら1匹のポケモンが元気な声で言った 「まだまだ成長途中の自分ですが、、、これからも宜しくお願いします!」 各地へ挨拶めぐりをする毎日。 ライバルとの切磋琢磨。 鍛え抜かれた四肢と力強い翼。 ちょっぴり丸まるとしたお腹が恥ずかしいけど、 そのおかげで可愛さもあると教わった。 それから10年後、、、時が立てば人は変わる。ポケモンだって例外ではない。 「ふわぁ〜〜あ、、、、あー眠い。」 ゴシゴシと目をこするリザードン。 広い部屋で、彼は大きなあくびをすると、備え付けのドリンクに手をとった。 甘いあまーいミックスオレだ。体力回復の必要はないが、嗜好品として2本飲んで喉を潤わせた。 目は覚めたが、リザードンは絨毯に寝そべったまま起き上がらない。 「寝すぎて逆に眠ぃーや。」 再び大口を開けて欠伸(アクビ)をする。 リモコンに手を伸ばすと、テレビのスイッチをつける。 リザードン「あー、新作の情報やってんな。へぇーきれいな街並みだな。随分進化したもんだ。」 しかし、出番は当分先だろう。ぶっちゃけ、ファイアレッド以降スタメンの依頼はあったかどうか。 リザードン(レンジャーのCM撮影やったのと、、、あと何したっけ。) ぼけぇーっと半開きの目でテレビを眺めつつ、お菓子に手を伸ばす。 バリボリと油っこいポケモン用のお菓子を平らげる。 腹は減ってないのだが、何かを食べているのが習慣になっていた。 定期的な健康診断は、女医がやってきて見てくれるおかげで生活習慣病の心配はない。 というかポケモンは風邪かポケルス以外の病気になるケースは稀だ。 だらけた生活が続き、リザードンは10年前とは比べ随分と・・・変わってしまった。 特に腹。誰が見てもまず腹に目が良くぐらい立派になってた。 リザードン(つってもカビゴンに比べれば、まだ大丈夫だろ。) そうプラス思考しつつ、ボリボリと腹を掻く。 今はろくに働かず、バトルを最後にしたのはいつか思い出せないぐらいだ。 彼の商品はバカ売れ、今でも人気は非常に高い。 印税が入りすぎて、ろくに仕事せずとも金は尽きることなく財産は増え続ける。 リザードン(ファンの人たちの差し入れをきちんと処分してるし、まぁ仕事してるっちゃーしてるか。) もちろん食べ物ばっかりだ。 すっかりぐうたらになったリザードンは日に日に太っていく。 超肥満・・・・という訳ではないが、そのうち飛べなくなっても知らんぞーなんてカメックスに茶化されている。 リザードン(お、昔のアニメ再放送してるわ・・・おー俺ってば昔はスリムだったんだなぁ) なんて、今ではまるで他人事。 結局、一日中テレビを横になって見たり、だらだらとラジオを聞いて夜になった。 リザードン「っと、もうこんな時間か。」 ホテルのコールみたいに、ベルを鳴らす。するとドドドド、と足音を立てて複数の人間がやって来た。 リザードンファンクラブの会員たちである。 リザードン「あのさ、悪いけど今日も頼むわ〜。」 ファン「は、はい!!///」 リザードンは炎の尻尾の関係で、シャワーやお風呂はきつい。一応入れるが、ちと体力を消耗してしまうのだ。 だから、塗らしたタオルで拭いてから乾いたタオルで体を洗う。 恥ずかしい話、自分の短い手じゃあ全身は無理。絶対に。 だから人間たちにお手伝いしてもらってる。 何故かファンクラブのメンバーは毎回ジャンケンでお腹を拭く係を争ってるが・・・・なんでだ? 十数分後−−− 体を拭いてもらい、さっぱりした。 さて、晩飯食って、あとはファンからの差し入れも食って、、、、 「ふわーあ。むにゃむにゃ、、、腹一杯になったら眠くなっちまったぜ。 今日はもう寝るか。」 こうして彼のぐうたらな一日は終わった。 リザードンのお腹は、先月に比べるとまた一段と大きくなった気がする。 彼が痩せるのは、まだ暫く先かもしれない・・・暫くはメタボな体型を維持・増量させ続けることだろう。 おしまい。